528: ◆FlW2v5zETA[saga]
2018/07/20(金) 03:44:59.04 ID:FKWrXIy5O
いつかのおおいわのうえで、わたしはわらっていた。
ふたりでいればどこでもてんごくだって。
529: ◆FlW2v5zETA[saga]
2018/07/20(金) 03:46:12.41 ID:FKWrXIy5O
………また、あの夢…。
時計に目を移すと、朝の8時でした。
もう何度見たのか忘れてしまった、あの頃の夢。
530: ◆FlW2v5zETA[saga]
2018/07/20(金) 03:47:52.17 ID:FKWrXIy5O
あの後3年程記者をしていましたが、『あるスクープ』を書いたのを機に、当時いた出版社を辞めてしまいました。
深海棲艦との戦争中に起きた、軍のとある不正をスクープしたんです。
世間は大変な騒ぎとなり、軍や政界に逮捕者も続出。挙句には、当時の関係者の自殺と言った事態にまで発展しました。
531: ◆FlW2v5zETA[saga]
2018/07/20(金) 03:49:30.08 ID:FKWrXIy5O
その後少しの間は、フリーの記者として食いつなぐ日々でした。
機を同じくして、知人から小説の執筆を勧められたんです。
仕事の暇を見ては書き続け数ヶ月。それがある大きな賞を取り、私のデビュー作となりました。
532: ◆FlW2v5zETA[saga]
2018/07/20(金) 03:51:19.85 ID:FKWrXIy5O
書いて…書いて……来る日も来る日も書き続けて。
気付けば手首はタイプのし過ぎで腱鞘炎になり、視力も随分落ちて。
もう三十路手前で、7つ違いのジュンより年上になってしまいました。
533: ◆FlW2v5zETA[saga]
2018/07/20(金) 03:52:41.01 ID:FKWrXIy5O
…あ、この曲……。
彼が死んで、1年が過ぎた頃でしょうか。
その頃の私は、泣く事だけは上手く出来なかったんです。
534: ◆FlW2v5zETA[saga]
2018/07/20(金) 03:53:56.22 ID:FKWrXIy5O
「……ジュン。」
535: ◆FlW2v5zETA[saga]
2018/07/20(金) 03:55:23.26 ID:FKWrXIy5O
鍵の付いた引き出しを開ければ、1瓶のテキーラと、沢山の睡眠薬。
そこに最近、プリントアウトした遺書も加えました。
この連載を終え、それが本になった日の晩。私はこれを飲み、命を絶つ。
536: ◆FlW2v5zETA[saga]
2018/07/20(金) 03:56:49.65 ID:FKWrXIy5O
「…久々に会ったが、青葉君も元気そうでよかったな。__、よろしく頼むぞ。」
「はい!ざっと聞いただけでも、壮絶なエピソードだらけでしたね…。」
537: ◆FlW2v5zETA[saga]
2018/07/20(金) 03:58:25.35 ID:FKWrXIy5O
何日か経ち、雪が降った日の深夜。
私は執筆の気晴らしに、雪景色の中を歩いていました。
都内としては大雪で、新雪に私の足跡だけが刻まれて行く。
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