370: ◆FlW2v5zETA[saga]
2018/02/10(土) 13:03:36.70 ID:kxRu56uZO
「…………!!」
悪い夢を見たけど、叫び声すら上げられませんでした。
371: ◆FlW2v5zETA[saga]
2018/02/10(土) 13:05:02.63 ID:kxRu56uZO
冷えた体を暖めるよう、お風呂を勧められました。
私はそう言われて、一緒に入ってと懇願したのです。
……今は血のぬくもりを思い出しそうで、とても怖かったから。
372: ◆FlW2v5zETA[saga]
2018/02/10(土) 13:06:28.26 ID:kxRu56uZO
行為の最中に歯や爪を立てるのは、私なりの独占欲の表れでした。
でも、私が与えた痛みや傷が彼の感情を呼び戻したのは…今はもう、ふたりの中では確かな事でしたから。
噛み付いた血の味だけは、あんな事が起きた今でも怖くない。
爪の間に食い込む肌も、ぬるりとした血の感触も、何もかも愛おしくて。
373: ◆FlW2v5zETA[saga]
2018/02/10(土) 13:07:06.45 ID:kxRu56uZO
「………その時はジュンの手で、私を殺して。
374: ◆FlW2v5zETA[saga]
2018/02/10(土) 13:07:47.04 ID:kxRu56uZO
不安や恐怖に駆られた人間は、自分の事しか考えられないのかもしれません。
もしくは……私がクズなだけなのでしょう。
この時私は精一杯の笑顔で、痛々しいお願いを囁いたのでした。
375: ◆FlW2v5zETA[saga]
2018/02/10(土) 13:08:33.35 ID:kxRu56uZO
「…………ばか。」
「至って真面目だよ。」
376: ◆FlW2v5zETA[saga]
2018/02/10(土) 13:09:18.97 ID:kxRu56uZO
ふと目を覚ますと、彼はテーブルに置いたタバコと錠菓へと手を伸ばした。
きついミントの錠菓を噛み砕き、メンソールの煙を深く吸い込む。
その時少し上下していた彼の肩は、崩れるように落ち着きを取り戻していた。
377: ◆FlW2v5zETA[saga]
2018/02/10(土) 13:10:05.99 ID:kxRu56uZO
今回はここまで。
378:名無しNIPPER[sage]
2018/02/10(土) 13:10:33.77 ID:WTCCq5nbO
偶然開いたらリアルタイム更新だったわ
おっつおっつ
379: ◆FlW2v5zETA[saga]
2018/02/20(火) 06:29:13.47 ID:UQb2c9ARO
いつかのとある春の日。
小川沿いに続く桜並木を、一人の女が歩いていた。
ひらひらと舞う花びらは、彼女の黒髪をより色濃く映えさせる。
しかし春風の音は、イヤホンに阻まれ彼女の耳には届かない。
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