370: ◆FlW2v5zETA[saga]
2018/02/10(土) 13:03:36.70 ID:kxRu56uZO
「…………!!」
悪い夢を見たけど、叫び声すら上げられませんでした。
心臓が痛いぐらいばくばくしていて、冬なのに汗まみれで。
頭から水を掛けるような静寂で、ようやくそこが自室だと理解出来たのでした。
目覚めてしまえば、そこはひとりぼっちの部屋。
ゆうべはジュンがいてくれたけど、一人になった今、ようやく込み上げて来るものを生々しく感じていたのです。
ふと鼻の奥に、血の匂いを感じました。
じっとりとした寝汗はまだ暖かくて、それはまるで……そう思った瞬間、心臓に鉄を針を刺されたような嫌な感覚が走って。
ガタガタと震える手で、私は必死に目からこぼれて来るものを押さえていました。
そうだよ…私は……この手で叔父さんを……。
血が…たくさん……。
その時また、こめかみに痛みが。
それに思わず目をしかめると…ある光景が広がって。
ミンチになるまで主砲を撃って。
片手で首を引きちぎって。
命乞いをする敵に魚雷を放って。
返り血と血煙の光景。思い出す頬の感触は……。
あのときわたしは、わらっていた。
気付いたら私は、ジュンの家の前に立っていました。
今は雨降り。寮を出た記憶もおぼろげで、足元は裸足のまま。
「…明日は俺も休みだ。しばらくここにいるといい。」
そんなひどい姿の私を見ても、彼はそう微笑んで家へと招いてくれました。
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