376: ◆FlW2v5zETA[saga]
2018/02/10(土) 13:09:18.97 ID:kxRu56uZO
ふと目を覚ますと、彼はテーブルに置いたタバコと錠菓へと手を伸ばした。
きついミントの錠菓を噛み砕き、メンソールの煙を深く吸い込む。
その時少し上下していた彼の肩は、崩れるように落ち着きを取り戻していた。
ベッドへと戻り彼女の髪を優しく撫ぜ、彼はその体を抱き締めた。
髪の香りに混ざる彼女の匂いとぬくもりに、彼はようやく安堵を感じている。
“人殺し………か。分かってんだよ、そんな事は。”
先程見た悪夢の中で、彼へと吐き捨てられた言葉が何度となく蘇る。
彼女の髪を撫ぜ、彼は誰に聞かせるでもなく、ぽつりとある言葉をこぼした。
「…それでもお前だけは、絶対に守るからな。」
この翌年、人類は勝利を迎える事となる。
だが、青葉にとって。
それ以上に彼にとって忘れる事の出来ない戦いは、その前にこそ訪れる事を。
この時のふたりは、まだ知らずにいるのであった。
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