835: ◆8zklXZsAwY[saga]
2019/03/24(日) 23:49:47.34 ID:6D6vTS+OO
九階にある人事部。ひとりの社員が後ろめたさと自己正当化に苛まれて自分のデスクから動けないでいる。名前は青島。この青島が今回の内通者だった。
田中たちが捕獲されたときから、青島の内心は異常な勢いで焦燥し出した。内通の露見、共犯扱い、有罪、懲役刑、出所後の人生など考えたくもない。
836: ◆8zklXZsAwY[saga]
2019/03/24(日) 23:50:34.67 ID:6D6vTS+OO
IBM(佐藤)『田中君たちが捕まってしまって、このままじゃいずれきみの関与がバレるよ。そこでコレだ』
背後の何者かがデスクの上に何か物を置いた。暗くてよくわからないが、黒い塊からアンテナのようなものが伸びている。
837: ◆8zklXZsAwY[saga]
2019/03/24(日) 23:51:25.99 ID:6D6vTS+OO
更衣室のロッカーに鍵はかかっていなかった。佐藤はそのうちのひとつを開け、ゆうゆうと着替えを始めた。作業用のつなぎを脱ぎ、スラックスとワイシャツに着替える。服の上に身につけたサスペンダー付きの工具ベルトにはさきほど殺害した警官と警備員から奪った二丁のリボルバーと麻酔銃があった。ほかに使えそうな工具も何本かある。
サスペンダーを肩にかけ、ロッカーを閉める。更衣室から出ようとしたとき、佐藤の視界にあるものが映る。
838: ◆8zklXZsAwY[saga]
2019/03/24(日) 23:52:15.63 ID:6D6vTS+OO
『佐藤らしき男の目撃情報が』
「そんなバカな!」
839: ◆8zklXZsAwY[saga]
2019/03/24(日) 23:54:40.19 ID:6D6vTS+OO
麻酔銃と麻酔ダートが入ったケースを警備員が床に置いた。周辺にいた警官がケースの近くまで集まったことを確認すると、警備員はケースを開け麻酔銃を取り出し、使用法とダートの装填の仕方を実演でレクチャーした。
質問もそこそこに麻酔銃を受け取る警官たち。警備員が実演してみせたように麻酔ダートを装填していると、こつこつと靴音が近づいてくるのが耳に届いた。
840: ◆8zklXZsAwY[saga]
2019/03/24(日) 23:55:39.59 ID:6D6vTS+OO
『十一階で佐藤と交戦中!』『六階で佐藤らしき男が……』『いや二十階だ!』
無線機から流れてくる情報はどれもバラバラで、佐藤のいる位置を伝えるどころかむしろ混乱を大きくさせることが目的のようだった。
841: ◆8zklXZsAwY[saga]
2019/03/24(日) 23:56:43.06 ID:6D6vTS+OO
『もしもし? ケイですか!?』
永井「いいか、おまえの存在を正体は隠したままこっちの仲間に明かす。平沢って人から佐藤と遭遇したと連絡が来たら、おまえはIBMを平沢さんたちのところまで送れ。やつにIBMを消費させ、できるだけ長く引き付けるんだ!」
842: ◆8zklXZsAwY[saga]
2019/03/24(日) 23:57:29.45 ID:6D6vTS+OO
永井「あっ!」
警官の格好をした田中がリボルバーを抜き、二連射する。中野が被弾。腹部を貫通し、銃弾が背後の壁に粉塵を飛ばしながら埋まった。
843: ◆8zklXZsAwY[saga]
2019/03/24(日) 23:58:25.29 ID:6D6vTS+OO
田中は永井と中野が隠れた通路の角を睨みながら、背後の仲間にむかって叫んだ。
田中「おまえら先に逃げろ!」
844: ◆8zklXZsAwY[saga]
2019/03/24(日) 23:59:39.54 ID:6D6vTS+OO
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