839: ◆8zklXZsAwY[saga]
2019/03/24(日) 23:54:40.19 ID:6D6vTS+OO
麻酔銃と麻酔ダートが入ったケースを警備員が床に置いた。周辺にいた警官がケースの近くまで集まったことを確認すると、警備員はケースを開け麻酔銃を取り出し、使用法とダートの装填の仕方を実演でレクチャーした。
質問もそこそこに麻酔銃を受け取る警官たち。警備員が実演してみせたように麻酔ダートを装填していると、こつこつと靴音が近づいてくるのが耳に届いた。
警官が振り向く。
キャンバスを担いだ佐藤がゆっくりとこちらに向かっていた。
「佐藤発見! 十一階、プラントルーム前です!」
麻酔銃の引き金を固定しているピンを引き抜き、正面に構える。佐藤は通路の左側面がプラントルームのガラス張りの入口であることを見てとると、いきなりダッシュし真正面から突っ込んできた。警官は麻酔銃を撃った。佐藤は速度を落とすことも避ける動作をする事もなく、キャンバスを盾のように構えた。通路を見栄えさせる油彩画が麻酔ダートを止めた。次々に麻酔ダートが突き刺さる油彩画の裏側で佐藤が拳銃を持ち上げた。キャンバス越しの当てずっぽうの射撃。五発全弾撃ち尽くし警官三人を負傷させたが、死に至らしめることはできなかった。
佐藤「うまくあたらないなあ」
リボルバーとキャンバスを投げ捨てながら佐藤は通路を左に折れ、プラントルームに進入する。キャンバスは前方に投げられ、正面の警備員から佐藤の姿を隠した。警備員は視界から消えた佐藤を追って、無理に身体を捻って右側にいる佐藤に麻酔銃を撃った。
麻酔ダートが、ガラスに弾かれた。
「あ!」
失態に気付いたとき、佐藤が眼の前で鏡写しのようにリボルバーを構えていた。その銃口が自分の視線と同じ高さにあることを警備員は視ていた。
佐藤が二連射し、警備員と警官を射殺する。
「あっちから銃声だ!」
警官の声が通路の奥から響いてきた。
その声を聞き取った佐藤は工具ベルトからナイフを抜き、ふたたび闇の中を走り出した。
右手にナイフ、左手に拳銃、顔には笑み。
まだまだ序盤。それでも佐藤は楽しくてしかたない。
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