683: ◆8zklXZsAwY[saga]
2018/10/15(月) 21:08:10.50 ID:z5kRHM0CO
夜食を摂り、食後の作戦会議も終わった。戸崎はフォージ安全での作戦展開の許可をとったことを告げ、より詳しい施設の情報を開示した。それによって実行可能なプランが絞られ、それぞれのプランの具体的な検討に入っていった。
永井はそれらを聞きながら、ビルの十階にある、とある設備にひとり注目していた。
684: ◆8zklXZsAwY[saga]
2018/10/15(月) 21:09:21.87 ID:z5kRHM0CO
真鍋「……永井、なんか用か?」
永井は応えず、真鍋が背中に隠している右手があるところに視線を向けた。ふたりとも黙ったまま何秒か過ぎた。
685: ◆8zklXZsAwY[saga]
2018/10/15(月) 21:10:49.24 ID:z5kRHM0CO
気温は二十度をすこし上回るくらいで、昼時に比べるとずいぶん涼しくなっていた。おまけに夜風がおだやかに森を吹き抜けていたので、木々の心地よいざわめきが起こり、秋虫の鳴き声と重なって調べをつくっていた。
永井は低い石垣に腰掛け、ひとり考えにふけっている。
686: ◆8zklXZsAwY[saga]
2018/10/15(月) 21:12:11.09 ID:z5kRHM0CO
佐藤要撃のためのプランは詰めの段階まできていた。戸崎がより詳細な現地設備の情報を持ってきたことから、亜人に対して有効な要撃プランを作ることができた。あとは実際の現場を見て、細かい点を修正していけばいい。永井はそう考えていた。
要撃のメインとなるのは黒服たち、やつらをどのようにして動かせばいいか、戦闘経験を積んでいるから簡単には僕の指示に従わないだろう、いや、プランの有効性を示せば動くか?
687: ◆8zklXZsAwY[saga]
2018/10/15(月) 21:13:13.22 ID:z5kRHM0CO
平沢「おまえ、寂しいのか?」
永井「はあ!?」
688: ◆8zklXZsAwY[saga]
2018/10/15(月) 21:14:14.31 ID:z5kRHM0CO
平沢「中野ってやつは、他人の信頼を得るのがうまい。同じ教室にいたらあいつはヒーローで、おまえはただの嫌なやつだろう」
平沢「だが、ここは学校じゃない。ここじゃあ、倫理や感情を断ち切る圧倒的な決断が必ず必要になる。本当だ。おまえはそれができる」
689: ◆8zklXZsAwY[saga]
2018/10/15(月) 21:15:34.54 ID:z5kRHM0CO
永井「同じ失敗はしない。僕はバカじゃないから」
力のこもった、決然とした口調だった。
690: ◆8zklXZsAwY[saga]
2018/10/15(月) 21:16:28.33 ID:z5kRHM0CO
戸崎「これが意見をまとめ作成した対佐藤の作戦要項だ。全員がしっかり頭に入れておくこと」
戸崎がクリップで留められた資料を人数分配って言った。資料を捲る面々の様子を視線で見回ると、中野が中学生が背伸びして晦渋な文章を読むときのようにページを睨んでいる。
691: ◆8zklXZsAwY[saga]
2018/10/15(月) 21:17:39.02 ID:z5kRHM0CO
メールを送信しスマートフォンをポケットにしまうと、永井は掌を上に向けた。掌に意識を向けると黒い粒子が立ち昇ってきた。粒子は一条の狼煙となって夜の空の星たちのあいだを通過して、宇宙の一部になっていくように見えた。
黒い粒子は一定の間隔で上昇していた。粒子は夜の暗さから独立していて、永井の視力が許すかぎりその上昇はどこまでも確認することができた。
692: ◆8zklXZsAwY[saga]
2018/10/15(月) 21:18:36.62 ID:z5kRHM0CO
永井がオグラにIBMを披露した際、中野は自身の問題について──IBMの発現ができない──オグラに質問していた。
オグラ「IBMを出せるようになる方法? ないな、おれの知るかぎり」
693: ◆8zklXZsAwY[saga]
2018/10/15(月) 21:19:38.30 ID:z5kRHM0CO
ロープの端を結んで輪を作り、首に掛けられる大きさまで広げると、輪になった方とは反対の端を太い幹から伸びた腕三本分はある頭上の枝に掛けた。永井はぎゅっと引きロープを固定した。
これで、縛り首の準備が整った。
968Res/1014.51 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20