693: ◆8zklXZsAwY[saga]
2018/10/15(月) 21:19:38.30 ID:z5kRHM0CO
ロープの端を結んで輪を作り、首に掛けられる大きさまで広げると、輪になった方とは反対の端を太い幹から伸びた腕三本分はある頭上の枝に掛けた。永井はぎゅっと引きロープを固定した。
これで、縛り首の準備が整った。
永井「これなら低コストでかつオートマチックに何度も死ねる。寝てても大丈夫だ」
ロープを見上げながら永井が平然とした調子で言った。中野はざらつきがある輪っかがランプに照らされ夜のなかに浮かんでいる様子を不吉そうに眺めている。
永井は中野を横目でちらっと見ると、怯えて躊躇していると感じられた。永井はさっきと同じ調子で、こんどは中野を見ながら気づかうように言った。
永井「なにより苦痛がない。バランスよく二本の動脈が絞められすぐに意識を失う」
永井の言葉を聞いた中野は、唇を噛んで深く息を吸うとふぅーっと息を吐き、前に進んだ。
中野「やるか……!」
永井「怖がることないだろ」
椅子に足をのせ輪に両手をかけたまま、中野はまだ躊躇していた。永井はその様子を見上げながら、ふと思ったことを口にした。
永井「そういやおまえって、最初なにで死んだの?」
中野「んー……孤独死?」
永井「それは死因じゃねーよ」
永井は心のなかでツッコんだ。
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