667: ◆8zklXZsAwY[saga]
2018/10/15(月) 20:32:52.66 ID:z5kRHM0CO
永井「平時なら別。だがこんな状況になっちゃあ、何の役にもたたない。何かするメリットもない」
永井は自分の声がだんだん冷え込んであくのを感じた。話を聞く中野も永井の声と同様に感情が冷え込み、無表情になっていた。
668: ◆8zklXZsAwY[saga]
2018/10/15(月) 20:40:34.67 ID:z5kRHM0CO
一夜が明け、今日もオグラはマイルドセブンFKを吸っていた。
昨夜は大雨が降り、あたり一面をすっかり湿らせ、屋外の喫煙スペースの庇に覆われていないコンクリートの部分は日差しに照らされているいまも黒いままだった。
669: ◆8zklXZsAwY[saga]
2018/10/15(月) 20:42:01.66 ID:z5kRHM0CO
永井「昨日いってた僕のIBMの話」
まだ警戒を解いていないのか、そっぽを向いてタバコを吸い続けているオグラに永井は話を切り出した。
670: ◆8zklXZsAwY[saga]
2018/10/15(月) 20:43:25.01 ID:z5kRHM0CO
タバコの煙が白く上昇する様子が喫煙所の影になっているところでははっきり見えたが、白く漂う流れは光のなかに広がるとまったく見えなくなってしまった。
永井は明るい場所から眼をそらし、自分がやってきたほうへ首を向け、オグラからそっぽを向くようなかたちで言った。
671: ◆8zklXZsAwY[saga]
2018/10/15(月) 20:44:52.41 ID:z5kRHM0CO
作戦会議に使われる休憩室のドアを開けると、そこには永井たち四人を除く全員がすでに集合していた。
部屋はそれほど広くなく、四角いテーブルが二列になって等間隔に三台並べられていて、テーブルにつき椅子がおおよそ四脚あったが、入口から見て右側の壁、戸崎が立っているほうの壁に近いテーブルには二脚と一脚しかなかった。
672: ◆8zklXZsAwY[saga]
2018/10/15(月) 20:46:39.89 ID:z5kRHM0CO
戸崎「暗殺リストの残りは七名、敵はこのどこかに必ず現れる」
全員が資料をぱらぱらとめくっているのを確認すると、戸崎は一同を見渡して、言った。
673:名無しNIPPER
2018/10/15(月) 20:47:34.14 ID:z5kRHM0CO
戸崎「条件にあうターゲットは選んである」
戸崎は壁にピン止めしてある写真に眼を移して言った。二枚の写真は証明写真に使われるような肩から上を写した顔写真で、男性と女性のものだった。
674: ◆8zklXZsAwY[saga]
2018/10/15(月) 20:48:46.10 ID:z5kRHM0CO
あのテロでの佐藤の真の目的はグラント製薬の壊滅ではなく、SATとの戦闘だったということ。旅客機の墜落はメッセージであり、二度繰り返す必要はないということ。
戸崎の胸中に疑惑が生まれた。SATの配備は極秘だった。だが、佐藤はそのことを知っていた。どこからか情報が漏れたのだ。警察からか、それとも亜人管理委員会からか。
675: ◆8zklXZsAwY[saga]
2018/10/15(月) 20:50:12.62 ID:z5kRHM0CO
永井「どんな不備が?」
中野「こんな危ないこと女性にさせられるかよ!」
676: ◆8zklXZsAwY[saga]
2018/10/15(月) 21:01:55.63 ID:z5kRHM0CO
オグラ「これが、両手に花ってやつだ」
まだ夏を引きずっている白く輝く太陽から降り注ぐ陽光を浴びながらオグラは言った。背後では下村のIBMが影のように左右に立ち、あやとりの紐を指に通している。
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