673:名無しNIPPER
2018/10/15(月) 20:47:34.14 ID:z5kRHM0CO
戸崎「条件にあうターゲットは選んである」
戸崎は壁にピン止めしてある写真に眼を移して言った。二枚の写真は証明写真に使われるような肩から上を写した顔写真で、男性と女性のものだった。
男性の方は三十代なかば、濃くて艶のある黒髪を後ろに撫で付けている、自信に溢れた微笑み、自分を生まれながらの上等な人間だと思っている、上向く唇の弧が目についた。
女性のほうはいくらか年が若いように見え、おそらく二十代後半、シュッとした柳眉、美人だが規律を順守する厳めしい印象を与える顔つき、天然の薄い色の茶髪をシニョンでまとめている。
戸崎「フォージ安全社長甲斐敬一、社長秘書李奈緒美。この二名だ」
配られた資料はフォージ安全のホームページをプリントアウトしたもので、社の概要や屋内の経路の様子がわかった。
戸崎が部屋にいる全員が資料に眼を落とすのを眺めながら言った。
戸崎「フォージ安全ビル、頑丈な壁、五階より上は全窓ミラーガラス。悪さするにはうってつけだ。またこの会社は一般的には保護具メーカーとして知られるが、セキュリティサービス業者としての側面も持ち人員の増加も期待できる」
中野「また飛行機落とされたら?」
戸崎「全国的な警備強化であんな派手なことはもうできない」
永井「ああそれに佐藤は“戦いたがり”だからな」
永井はペンを動かしながら言った。中野はいまいち永井の発言の要領をつかめないようだったが、他の者たちはどういう意味か理解していた。
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