667: ◆8zklXZsAwY[saga]
2018/10/15(月) 20:32:52.66 ID:z5kRHM0CO
永井「平時なら別。だがこんな状況になっちゃあ、何の役にもたたない。何かするメリットもない」
永井は自分の声がだんだん冷え込んであくのを感じた。話を聞く中野も永井の声と同様に感情が冷え込み、無表情になっていた。
永井「どんどんクッキリしてく。余分な感情は状況を悪化させる。情にすがったって窮地は好転しない。ほんとうは、昔からわかってたさ」
永井はこれまでずっと必要であればそうしてきたように、感情を切り分けて、言った。
永井「心に流されれば身を滅ぼす」
中野はもう無表情ではなかった。眉を寄せ、永井を怒りを込めて睨んでいた。はっきりと嫌悪の表情を浮かべていた。そしてそれは永井も同様だった。
中野「クズが」
永井「バカが」
永井も中野も互いにを軽蔑し、罵りあった。
トイレの中は灯りがついていて明るかった。縦に長い四角いドアのない入口から薄暗い廊下に黄色い光がはみ出している。光のすぐ側に平沢が立っていた。ジャケットの前を開け、片手をズボンのポケットに突っ込んだ姿勢で、平沢は二人の対立を耳にしていた。
平沢は止めにはいるでもなく、なにかを考えているかのように佇みながら、光に淡く照らされていた。
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