666: ◆8zklXZsAwY[saga]
2018/10/15(月) 20:31:37.19 ID:z5kRHM0CO
永井は声を低めたが、刺すような視線は相変わらずだった。永井はどうせ理解しがたいだろうがと思いながら、黒服と組むことのメリットについて説明をはじめた。
永井「あいつらのスキルのひとつは『ちゃんと死ねる』ってとこだ。これは僕らにあって佐藤にない。捨て駒として作戦に組み込めるかもしれないんだ」
中野「ふざけんな!」
捨て駒という言葉を聞いた途端、中野は激昂した。瞬間的な怒りはすぐに悔しさにも似た感情に変わり、中野はすがるような声を絞りだし永井に問いかけていた。
中野「おまえ、人を大切に思ったりはしねーのかよ……」
永井「ない」
永井は冷酷に言い捨てた。
中野は顔をあげ、きっと睨み付けると、さっきよりはるかに強い口調で問い詰めた。
中野「じゃあニュースでいってたあの人は!? おまえの逃走を手伝ってくれた友達はどうなんだよ!」
永井は言葉につまった。海斗のことを訊かれるとは思っていなかった。友達のことは胸の奥にしまいこんでいたから、だれにも、とりわけ中野にそのことを衝かれるとは考えてなかったのだ。
永井は一瞬眼を伏せ、そして視線をもとに戻し、いった。
永井「いらないよ、もう」
その声は感情の混じりがないフラットな響きだった。
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