661: ◆8zklXZsAwY[saga]
2018/10/15(月) 20:20:16.24 ID:z5kRHM0CO
オグラ「アイオワの農家の亜人が似たような事例だった」
オグラが話し出し、永井はそちらに向き直った。中野は磔にされたままだったが、二人ともそちらを気にもせず、会話に意識をむけていた。
662: ◆8zklXZsAwY[saga]
2018/10/15(月) 20:22:46.95 ID:z5kRHM0CO
中野「あっ、やばい!」
見ると、IBMがオグラに襲いかかろうとしていた。振りかぶる腕を部屋に飛び込んできた下村のIBMがとめた。三角頭のIBMは左腕をバットのスイングのように振って永井のIBMの頭を砕き散らした。
663: ◆8zklXZsAwY[saga]
2018/10/15(月) 20:26:44.42 ID:z5kRHM0CO
オグラ「連続で何体出せた?」
永井「五体。調子がよくて九体だったかな」
664: ◆8zklXZsAwY[saga]
2018/10/15(月) 20:27:58.81 ID:z5kRHM0CO
オグラとの面会を終え、すこしのあいだスケジュールに暇ができた。とくにやることもなく、永井は用意された自室で身体を休めていた。
永井は寝つきがいいほうだった。頭を枕にあずけ、意識を後頭部に向け、それから枕、ベッド、床へ、意識は地面を突き抜けて地下を掘って、やがて水脈へと辿り着く、そういう垂直に沈みこんでいくイメージを眼を閉じて想像すると、すやすやと寝入る。
665: ◆8zklXZsAwY[saga]
2018/10/15(月) 20:28:52.54 ID:z5kRHM0CO
正面に真鍋がいた。手に麻酔銃を持っている。いままさにまっすぐまえに構えようとしている。
永井『止まれ!』
666: ◆8zklXZsAwY[saga]
2018/10/15(月) 20:31:37.19 ID:z5kRHM0CO
永井は声を低めたが、刺すような視線は相変わらずだった。永井はどうせ理解しがたいだろうがと思いながら、黒服と組むことのメリットについて説明をはじめた。
永井「あいつらのスキルのひとつは『ちゃんと死ねる』ってとこだ。これは僕らにあって佐藤にない。捨て駒として作戦に組み込めるかもしれないんだ」
667: ◆8zklXZsAwY[saga]
2018/10/15(月) 20:32:52.66 ID:z5kRHM0CO
永井「平時なら別。だがこんな状況になっちゃあ、何の役にもたたない。何かするメリットもない」
永井は自分の声がだんだん冷え込んであくのを感じた。話を聞く中野も永井の声と同様に感情が冷え込み、無表情になっていた。
668: ◆8zklXZsAwY[saga]
2018/10/15(月) 20:40:34.67 ID:z5kRHM0CO
一夜が明け、今日もオグラはマイルドセブンFKを吸っていた。
昨夜は大雨が降り、あたり一面をすっかり湿らせ、屋外の喫煙スペースの庇に覆われていないコンクリートの部分は日差しに照らされているいまも黒いままだった。
669: ◆8zklXZsAwY[saga]
2018/10/15(月) 20:42:01.66 ID:z5kRHM0CO
永井「昨日いってた僕のIBMの話」
まだ警戒を解いていないのか、そっぽを向いてタバコを吸い続けているオグラに永井は話を切り出した。
670: ◆8zklXZsAwY[saga]
2018/10/15(月) 20:43:25.01 ID:z5kRHM0CO
タバコの煙が白く上昇する様子が喫煙所の影になっているところでははっきり見えたが、白く漂う流れは光のなかに広がるとまったく見えなくなってしまった。
永井は明るい場所から眼をそらし、自分がやってきたほうへ首を向け、オグラからそっぽを向くようなかたちで言った。
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