185: ◆8zklXZsAwY[saga]
2017/05/16(火) 20:11:28.30 ID:AMJLL1TVO
コウマ陸佐「不死身とか……それ以前の話だ。この亜人は何者だ!」
佐藤が警備員を突破し、永井圭が保管されている部屋に悠々と入っていく様子をモニターで見ていたコウマ陸佐は、苦渋に表情を歪めながら叫ばずにはいられなかった。
186: ◆8zklXZsAwY[saga]
2017/05/16(火) 20:13:48.93 ID:AMJLL1TVO
戸崎「すみません……緊急事態でして」
戸崎はタイミングの悪さに悪態をつきたい気分だった。
187: ◆8zklXZsAwY[saga]
2017/05/16(火) 20:16:37.80 ID:AMJLL1TVO
赤く濡れた通路に二十体以上の死体が倒れていた。仰向けの死体に、うつ伏せて四肢を投げ出している死体、普段なら曲げないであろう限界まで関節が曲がり奇妙なオブジェのように壁に寄りかかっている死体、張りつめて伸びた脚のあいだに背中を丸め頭を垂れ、額を床にぴったりつけている死体など、さまざまな姿勢の死体が廊下の前後どちらにも続いていて、冷たくなった身体の下にあるぬめった血溜まりの周縁部は水に溶け、形状をあいまいにしていた。
血溜まりは天井の灯りを反射して白く輝いていたり、反対に光を吸い込んでいるように黒く見えるものもあり、赤、黒、白の色彩はそれぞれコントラストを作っていて、それ以外の光がちらちらと散っているところは小川のようだった。二人が歩くと踏まれた箇所に波紋が広がり、濡れた通路の床はほんとうにせせらいでいるように見えた。
188: ◆8zklXZsAwY[saga]
2017/05/16(火) 20:17:56.02 ID:AMJLL1TVO
189: ◆8zklXZsAwY[saga]
2017/05/16(火) 20:19:27.21 ID:AMJLL1TVO
>>188は投稿ミスです
永井「ココを守るのがこの人達の仕事でしょうし、もう死んじゃってますしね」
190: ◆8zklXZsAwY[saga]
2017/05/16(火) 20:22:01.58 ID:AMJLL1TVO
永井「待ち伏せ?」
佐藤「確認する必要があるね」
191: ◆8zklXZsAwY[saga]
2017/05/16(火) 20:23:32.70 ID:AMJLL1TVO
永井は首を動かさず、横たわる死体と声も上げられないほど恐怖している二人の研究員を横目でちらと一瞥してから、佐藤にたずねた。
永井「殺すんですか?」
192: ◆8zklXZsAwY[saga]
2017/05/16(火) 20:25:10.94 ID:AMJLL1TVO
引き金にかかる佐藤の指に力が入る。引き金が引き絞られてから銃弾が発射されるまでの時間は瞬間的で、僅かな秒数でしかない。その一秒にも満たないあいだに、永井は反射的に動いていた。銃身を掴み、ありったけの力で下のほうに抑え込む。銃弾は薬莢よりはやく落ち、床に弾痕を残した。
佐藤「永井君?」
193: ◆8zklXZsAwY[saga]
2017/05/16(火) 20:27:36.90 ID:AMJLL1TVO
佐藤 (永井君、やはり君は……)
194: ◆8zklXZsAwY[saga]
2017/05/16(火) 20:29:41.17 ID:AMJLL1TVO
銃撃の音は研究員の鼓膜だけでなく、その皮膚にまで雪崩のように押し寄せてきて、激しい震えを与えた。肌を打ち続ける轟音に、マスクの研究員は、自分が撃たれてしまったのかと思った。瞼の裏が熱く、血潮が脈打っているのがうるさかった。
鼓動と脈拍の喚きがいつまでも止まないことに気づいた研究員は、恐る恐る、眼を開けてみた。細い白煙の一筋が眼にはいった。煙は、M4カービンの銃口から昇っていた。永井は尻もちをついた状態で、ドアに背をつけている佐藤に銃を向けており、永井の周囲にはたくさんの空薬莢がまだ熱を持ったまま転がっていた。
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