新田美波「わたしの弟が、亜人……?」
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191: ◆8zklXZsAwY[saga]
2017/05/16(火) 20:23:32.70 ID:AMJLL1TVO

永井は首を動かさず、横たわる死体と声も上げられないほど恐怖している二人の研究員を横目でちらと一瞥してから、佐藤にたずねた。


永井「殺すんですか?」

佐藤「万全を期す」


マスクの研究員はもう目を開けていた。顔からは玉のような汗が流れ出していた。佐藤はホロサイト越しにこちらを見ていて、さっき同僚が撃ち抜かれたのと同じところが狙われていると感じた。眉間のあたりがやたらと熱い気がする。研究員の視線が、自分を眺めている永井のと交わった。同情も困惑もない、透明なものを見ているような眼をしていた。

研究員はそこですべてを諦めた。仕方の無いことなんだ、と彼は自分に言い聞かせた。おれが上の命令に従ったのも仕方の無いことなんだし、その結果、おれが殺されるのも仕方の無いことなんだ。研究員は自分が殺されることを受け入れるというよりは、自分が殺されることを永井が認めているということを受け入れる、とでもいうようにそっと瞼を閉じた。永井はその様子をじっと見つめていた。



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