192: ◆8zklXZsAwY[saga]
2017/05/16(火) 20:25:10.94 ID:AMJLL1TVO
引き金にかかる佐藤の指に力が入る。引き金が引き絞られてから銃弾が発射されるまでの時間は瞬間的で、僅かな秒数でしかない。その一秒にも満たないあいだに、永井は反射的に動いていた。銃身を掴み、ありったけの力で下のほうに抑え込む。銃弾は薬莢よりはやく落ち、床に弾痕を残した。
佐藤「永井君?」
佐藤は銃身を持ち上げようとしたが、永井がさらに力を入れて抑え続けているので、カービン銃はわずかに上下に揺れる程度の動きしかみせなかった。綱引きのような引っ張り合いをしながら、永井が恐る恐るといった調子で言った。
永井「いえ、あの、助けていただいてる身分で大変言いにくいんですが、無抵抗ですし、殺さなくてもいいんじゃあ……」
佐藤「麻酔銃を隠してるかも」
永井「あ! 目を潰すとか、腕を折るとかはどうです?」
永井は、まるで停滞している会議を進展させる良いアイデアを思いついたかのように、声の調子を弾ませながら言った。
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