193: ◆8zklXZsAwY[saga]
2017/05/16(火) 20:27:36.90 ID:AMJLL1TVO
佐藤 (永井君、やはり君は……)
佐藤の手がカービン銃から離れた。左手でストラップを外すと、脚を踏ん張り、重心を後ろにして銃身を押さえつけていた永井は、後方へと倒れていった。ストラップを外した佐藤の右手は瞬時にレッグホルスターに伸び、そこに収められていた拳銃を引き抜いていた。
佐藤 (失敗だったよ)
拳銃を握った右手が上げられ、ふたたびマスクの研究員に銃口が向けられる。佐藤に照準を合わせるつもりはなく、拳銃が研究員の頭部のあたりまで持ち上がれば、適当に引き金を引いて銃弾を数発浴びせようとしていた。
永井の眼は、佐藤の右腕が上げられていく運動の軌跡を分割して捉えていて、一つ一つの固定された画像は、映画のように画面が次々に移り変わることによって現実の運動を再現しているというふうに映った。
腕の上昇と身体の落下が、それぞれの結果に行き着く前に、部屋の中に銃声が轟き渡った。
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