新田美波「わたしの弟が、亜人……?」
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194: ◆8zklXZsAwY[saga]
2017/05/16(火) 20:29:41.17 ID:AMJLL1TVO

銃撃の音は研究員の鼓膜だけでなく、その皮膚にまで雪崩のように押し寄せてきて、激しい震えを与えた。肌を打ち続ける轟音に、マスクの研究員は、自分が撃たれてしまったのかと思った。瞼の裏が熱く、血潮が脈打っているのがうるさかった。

鼓動と脈拍の喚きがいつまでも止まないことに気づいた研究員は、恐る恐る、眼を開けてみた。細い白煙の一筋が眼にはいった。煙は、M4カービンの銃口から昇っていた。永井は尻もちをついた状態で、ドアに背をつけている佐藤に銃を向けており、永井の周囲にはたくさんの空薬莢がまだ熱を持ったまま転がっていた。

備品室の入口周辺のドアと壁が銃弾に穿たれていて、その中心に背をつけて立っている佐藤の身体にも、ドアや壁と同様に多くの弾痕が刻まれていた。佐藤はちいさく咳き込むように血を吐いて、ぼそぼそ言った。


佐藤「私を……撃ったな……」


佐藤の声は血で濁っていた。血に浸されたコンバットベストに空いた穴はくっきりと黒かった。ベストの上から腹部の銃創を手で押さえる様子は、手のひらに血を染み込ませて、皮膚の色を赤色に染めあげようとしているように見えた。



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