新田美波「わたしの弟が、亜人……?」
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187: ◆8zklXZsAwY[saga]
2017/05/16(火) 20:16:37.80 ID:AMJLL1TVO

赤く濡れた通路に二十体以上の死体が倒れていた。仰向けの死体に、うつ伏せて四肢を投げ出している死体、普段なら曲げないであろう限界まで関節が曲がり奇妙なオブジェのように壁に寄りかかっている死体、張りつめて伸びた脚のあいだに背中を丸め頭を垂れ、額を床にぴったりつけている死体など、さまざまな姿勢の死体が廊下の前後どちらにも続いていて、冷たくなった身体の下にあるぬめった血溜まりの周縁部は水に溶け、形状をあいまいにしていた。

血溜まりは天井の灯りを反射して白く輝いていたり、反対に光を吸い込んでいるように黒く見えるものもあり、赤、黒、白の色彩はそれぞれコントラストを作っていて、それ以外の光がちらちらと散っているところは小川のようだった。二人が歩くと踏まれた箇所に波紋が広がり、濡れた通路の床はほんとうにせせらいでいるように見えた。

佐藤は銃を水平に構えたまま移動し、開いたドアがみると部屋の中を確認した。無人であることを見てとると、銃口を斜め下に下げて通路を眺める永井の背中に向かって声をかけた。


佐藤「気になるかい?」

永井「え? 別に」


永井はさしたる動揺もあらわさず、振り返って佐藤に答えた。




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