1: ◆2DegdJBwqI[saga]
2016/12/15(木) 07:42:28.69 ID:KNqYHUYXo
・魔獣編、叛逆の物語を前提とした叛逆後のまどほむ
・一つ一つ短編だか中編だかわからないけど、とにかく全部で三編構成予定
・大雑把にしか決めてないが多分長くなる
一応、のんびりやったのに今年中に完結出来たじゃん、が理想
・地の文はかなり多い
SSWiki : ss.vip2ch.com
2: ◆2DegdJBwqI[saga]
2016/12/15(木) 07:46:30.96 ID:KNqYHUYXo
M=f H=t
1
3: ◆2DegdJBwqI[saga]
2016/12/15(木) 07:50:31.12 ID:KNqYHUYXo
窓辺に置いたクロッカスの鉢植えに育つ色の濃い緑葉が、今はきらきらと光の加減で萌黄色に輝いて見える。
ついこのあいだ落とした老いた遅咲きの花の面影なんて、微塵も感じさせぬ堂々とした佇まい。
薄い乳白色のカーテンは目一杯に開かれていて、それが私の奥底に沈殿した記憶を不意に揺り起こした。
4: ◆2DegdJBwqI[saga]
2016/12/15(木) 08:01:16.59 ID:KNqYHUYXo
部屋を出ると、廊下までウインナーと目玉焼きのおいしそうなにおいがわずかに届いており、思わず鼻をひくつかせる。
私はひとりで笑う。自分の仕草を。
なんだか、まるで犬のようだ。
5: ◆2DegdJBwqI[saga]
2016/12/15(木) 08:20:31.43 ID:KNqYHUYXo
「そこのお皿に、盛り付けをしておいてくれるかしら。
冷蔵庫に、お徳用のチーズが残り四ピース入ってるから、それを二つ。
あと、プチトマトとサニーレタスを。もちろんバターをパンに塗って」
6:名無しNIPPER[sage]
2016/12/15(木) 08:37:31.66 ID:DGqj6Laeo
すげーまるで小説みたい
7: ◆2DegdJBwqI[saga]
2016/12/15(木) 09:39:39.53 ID:KNqYHUYXo
2
ほむらちゃんはたまに外出をするけれど、毎日の時間の大半を私とお家で過ごしている。
今はちょうど、たまに外出をする、の方だ。
だから私はひとりぼっち。
8: ◆2DegdJBwqI[saga]
2016/12/15(木) 09:41:26.91 ID:KNqYHUYXo
繰り返しチャンネルを変えているうちに、ちょうど映画が始まったチャンネルを見つけた。
見たことのない映画。これはどういうジャンルの映画だろう。
私は静かにじっと映画を鑑賞する。
9: ◆2DegdJBwqI[saga]
2016/12/15(木) 09:44:52.33 ID:KNqYHUYXo
ご飯の方のビニール袋をキッチンまで運んで、
この食材はほむらちゃんの手でどんなご飯に変わるのだろう、
と一々想像しつつのんびり冷蔵庫にしまっていると、早々と着替えを終えたほむらちゃんが姿を見せる。
10: ◆2DegdJBwqI[saga]
2016/12/15(木) 09:46:12.01 ID:KNqYHUYXo
私は頷く。
そう、全部。
私と、ほむらちゃん。
ただそれだけ。
11: ◆2DegdJBwqI[saga sage]
2016/12/15(木) 09:50:27.86 ID:KNqYHUYXo
今日はここまで
久しぶり過ぎて、何文字書いてきたら一回の更新に丁度良いのか完全に忘れてしまっていた
多分3000〜8000くらいだな
一編目はまどかの記憶を埋め込んで作られた魔獣マドカ×悪魔ほむらです
12:名無しNIPPER[sage]
2016/12/15(木) 20:04:06.63 ID:e8x5UQ2CP
乙
綺麗な情景なのにところどころに感じられる狂気の片鱗
綺麗な部分だけ切り取って綺麗な部品だけで綺麗な世界を作っているようで恐ろしいな
13: ◆2DegdJBwqI[saga]
2016/12/16(金) 11:23:39.67 ID:ZBdgAUZjo
3
耳を澄ましても、澄まさなくても、私は存在しない音を聞くことがある。
それもただの音じゃなくて、多分誰かの声なのだろう。
だって私のことを呼んでいるから。
14: ◆2DegdJBwqI[saga]
2016/12/16(金) 11:29:02.95 ID:ZBdgAUZjo
4
ほむらちゃんが、手芸道具一式をサプライズで買ってくれた。
ほむらちゃんから買ってもらえればなんでも嬉しいのはもちろんだけど、私は手芸が好きだから、特に嬉しかった。
15: ◆2DegdJBwqI[saga]
2016/12/16(金) 11:31:00.16 ID:ZBdgAUZjo
ベッドの端で足をぶらぶらと前に投げだして、素材の生地と生地をちくちく頑張って縫い合わせている私の後ろで、
ほむらちゃんは赤ん坊がおんぶされるような恰好で私を抱きしめている。
私の肩甲骨の辺りで交差した彼女の腕は、それぞれその先で適当な安住の地を得ていて、
16: ◆2DegdJBwqI[saga]
2016/12/16(金) 11:35:07.29 ID:ZBdgAUZjo
人差し指で、下から始めて、一段一段、階段を踏みしめるように上へと向かう。
同じところを何度か執拗に往復したりもして、
まるで絵筆が白いカンパスに決められた色をちょっとずつ落としてゆくみたいに、丹精に肉体の輪郭を描く。
17: ◆2DegdJBwqI[saga]
2016/12/16(金) 11:36:59.48 ID:ZBdgAUZjo
やがてほむらちゃんが、耳元に熱っぽい声で囁いてくる。
「こっちを見なさい」
18: ◆2DegdJBwqI[saga]
2016/12/16(金) 12:58:27.33 ID:ZBdgAUZjo
5
夜遅くに帰宅したほむらちゃんは、玄関で突然泣き出した。
大号泣だった。玄関へ迎えに出た私を一目見て。
私は、何かあったのか、知らないあいだに私が悪いことでもしたのか、と訊いた。
19:名無しNIPPER[sage]
2016/12/16(金) 13:03:03.24 ID:qrIRLA/RO
自分とは別に本物がいることを知ってるのか
20: ◆2DegdJBwqI[saga sage]
2016/12/16(金) 13:05:43.79 ID:ZBdgAUZjo
もうちょっと今日で進めるつもりだったけど、予想以上に書き進まないので、今日の投下はここまでにしておきます
今後は「恋敵は――本当の、私!?」みたいな展開になってゆく
多分
21:名無しNIPPER[sage]
2016/12/16(金) 19:08:18.70 ID:qrIRLA/RO
乙
>恋敵は私
この戦い……非常に厳しい……!
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