16: ◆2DegdJBwqI[saga]
2016/12/16(金) 11:35:07.29 ID:ZBdgAUZjo
人差し指で、下から始めて、一段一段、階段を踏みしめるように上へと向かう。
同じところを何度か執拗に往復したりもして、
まるで絵筆が白いカンパスに決められた色をちょっとずつ落としてゆくみたいに、丹精に肉体の輪郭を描く。
指が上に進むにつれて、私はこそばゆくなる。
ついには短くて荒い吐息が漏れる。
そして、自らの間欠的な声の反応を予期する。
私の声。ほむらちゃんの色に、染められた声。
彼女の指は、私にとって特別だ。
指だけではない。何もかもがそう。
ほむらちゃんは私の全て。彼女が私という存在の全てを、この世界に描き出したのだから。
無視なんて、できるわけがない。
だけど私も意地になって、裁縫を止めようとしない。
何の意味もない幼稚な抵抗に過ぎないけれど、ほむらちゃんがそれを喜んでいるのを私は肌に感じる。
指から服へ。服から肌へ。
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