4: ◆2DegdJBwqI[saga]
2016/12/15(木) 08:01:16.59 ID:KNqYHUYXo
部屋を出ると、廊下までウインナーと目玉焼きのおいしそうなにおいがわずかに届いており、思わず鼻をひくつかせる。
私はひとりで笑う。自分の仕草を。
なんだか、まるで犬のようだ。
既に開けてあるドアを通り抜けて、ダイニングキッチンに入る。
ログハウスを意識して造られたこの部屋は、その目論見通りログハウス風とでも呼ぶしかない雰囲気に満ちている。
木のにおい。木の温かさ。
丸太を縦に敷き詰めたような一面の壁と、滑らかに磨かれたウッドデッキめいた質感のフローリング。
天井ではプロペラがボール型のLED照明を中心にクルクルと回っている。
入ってすぐ左に広がるキッチンに目を向けると、
ほむらちゃんが長くてつややかな黒髪をピンクのふわふわしたシュシュで後ろにまとめてひとりで立っている。
私の視線の真正面にある壁、天井近くの透明な採光窓が、真っ青な空を四角く透かしている。
その壁から何歩か離れたところで、ほむらちゃんはウインナーと目玉焼きをフライパンで焼いている。
エプロン姿。鼻歌を奏でている。いったいなんてタイトルの曲なんだろう。
ほむらちゃんが、フライパンの上から私に視線を移す。
「あら、ちょうどよかった」
彼女がそう言ったちょうどその瞬間に、チン、とトースターが音を立てる。
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