ほむら「Enemy=Me」
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3: ◆2DegdJBwqI[saga]
2016/12/15(木) 07:50:31.12 ID:KNqYHUYXo

 窓辺に置いたクロッカスの鉢植えに育つ色の濃い緑葉が、今はきらきらと光の加減で萌黄色に輝いて見える。
ついこのあいだ落とした老いた遅咲きの花の面影なんて、微塵も感じさせぬ堂々とした佇まい。

 薄い乳白色のカーテンは目一杯に開かれていて、それが私の奥底に沈殿した記憶を不意に揺り起こした。
指先の記憶。朝、ママを起こしに行ったときにカーテンを引いた、あの手触り。

 本当は私自身が感じたわけではない、遥か遠くに隔たる記憶。

 私は、観音開きの扉の陰に身を屈めてクローゼットの中身をあれでもないこれでもないとまさぐったあと、
ようやく納得した一着に昨日の夜が染みついている気がするパジャマから着替えながら、ふとした拍子にベッドを振り返る。

 さざ波のように掛け布団が皺を寄せている。
 そこには痕跡がある。
 私と、ほむらちゃんの痕跡が。
 ほむらちゃんは眠る。私も眠る。同じベッドで。手と手を繋いで。
 たまに思う。
 夢を見ないなら、見る必要がないなら、私たちはなんで眠る必要があるのだろう、と。


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