モバP「世界中にヒーローと侵略者が現れた世界で」part13
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335: ◆EBFgUqOyPQ[saga sage]
2016/10/18(火) 02:36:46.31 ID:nZ3oq+wSo

 本来その泥の沼は、決して深いものではなく水溜りと大差はない。
 しかし、ウルティマの足元だけは例外であり、そこはウルティマの心の源泉であり混沌の中心であった。
 その深度は、底なしの如くであり、満たされた泥は強酸のように取り込んだものを同一化するために溶かし始める。

以下略 AAS



336: ◆EBFgUqOyPQ[saga sage]
2016/10/18(火) 02:37:12.78 ID:nZ3oq+wSo

 泥をかき分けた先が、ウルティマの最も深いところに触れる。
 それに気が付いた奈緒は全身の力を振り絞って、体を前に進め、孤独の玉座へと挑んだ。
 だが所詮はここまでの泥はウルティマ『以外』でしかなく、行く手を阻む前座でしかない。
 真に奈緒が相対すべき相手は、この奥であった。
以下略 AAS



337: ◆EBFgUqOyPQ[saga sage]
2016/10/18(火) 02:37:41.81 ID:nZ3oq+wSo

 ここはウルティマの泥の最奥であり、間違いなく不純物のないウルティマ自身の心象である。
 だがこの景色は人の内面というにはあまりに殺風景、かつ無機質だ。
 時間の止まった遊園地とこの世の物とは思えぬ空模様は、命を感じさせない荒廃の情景である。
 当然それが健全な心ではないことを表しており、ウルティマの闇であり病みの具現であったのだ。
以下略 AAS



338: ◆EBFgUqOyPQ[saga sage]
2016/10/18(火) 02:38:11.34 ID:nZ3oq+wSo

「なぁ……君の、名前は?」

 奈緒は突如として現れた少女に内心驚きつつも、平静を保ちながら名を訪ねる。
 目の前の少女は、先ほどまで戦っていた蛇頭の主と寸分違わぬ姿をしており、この少女こそが泥の汚染を抜きにした真の意味での心であろう。
以下略 AAS



339: ◆EBFgUqOyPQ[saga sage]
2016/10/18(火) 02:38:46.18 ID:nZ3oq+wSo

(とにかく、この『あたし』は耐えられなかった。だから飢えに飲まれて。

孤独を凌ぐためにあらゆるものを食べるだけの怪物に堕ちたんだ)

以下略 AAS



340: ◆EBFgUqOyPQ[saga sage]
2016/10/18(火) 02:39:22.97 ID:nZ3oq+wSo

『そと?とおいところなの?』

「まぁ……ちょっと遠かったな。でも、大した距離じゃないさ」

以下略 AAS



341: ◆EBFgUqOyPQ[saga sage]
2016/10/18(火) 02:40:08.18 ID:nZ3oq+wSo

 奈緒が思い返すは研究所での牢獄の生活。
 暴食の核が訴える激烈なまでの空腹は、もともと満たされぬ奈緒にとっては永遠に続く地獄の苦痛そのものであった。
 だがそれ以上に辛かったのはその誘惑に負けて、だれかを自分に入れることだった。

以下略 AAS



342: ◆EBFgUqOyPQ[saga sage]
2016/10/18(火) 02:40:40.70 ID:nZ3oq+wSo

 奈緒の足を縛り付け、ふくらはぎへと這い上がってくるのは彼女自身慣れ親しんだ黒い泥であった。
 そしてふと周りをよく見れば、歩道全てが氾濫したように泥が充満している。

『ダレカキタ』
以下略 AAS



343: ◆EBFgUqOyPQ[saga sage]
2016/10/18(火) 02:41:29.65 ID:nZ3oq+wSo

 そしてその獣たちの斉唱は少女には聞こえていない。
 どうやら徹底してウルティマの眷属たちは、自らの主を孤立させ続けるつもりなのだろう。

「くそっ!奈緒ちゃん!あたしの手を取れ!
以下略 AAS



344: ◆EBFgUqOyPQ[saga sage]
2016/10/18(火) 02:42:01.08 ID:nZ3oq+wSo

『だから、ずっといっしょだよ。なおおねえちゃん。

ふたりでいっしょに、あたしとずっとあそぼう?』

以下略 AAS



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