モバP「世界中にヒーローと侵略者が現れた世界で」part13
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◆EBFgUqOyPQ
[saga sage]
2016/10/18(火) 02:37:41.81 ID:nZ3oq+wSo
ここはウルティマの泥の最奥であり、間違いなく不純物のないウルティマ自身の心象である。
だがこの景色は人の内面というにはあまりに殺風景、かつ無機質だ。
時間の止まった遊園地とこの世の物とは思えぬ空模様は、命を感じさせない荒廃の情景である。
当然それが健全な心ではないことを表しており、ウルティマの闇であり病みの具現であったのだ。
「確かに……こんな風景はまともじゃない。……だけど」
しかしこの殺風景な遊園地に対して、奈緒はもう一つの感情を抱く。
それはある意味当然であり、慣れ親しんだものであったため奈緒自身も素直に受け入れられた。
「ここは……あたしが知ってる場所だ」
ここが現実のどこかだということは奈緒にはわからない。
だがこの風景が奈緒にとって非常にデジャヴを感じるものであり、そして探し求めていた風景でもあったのだ。
『……だれ?』
奈緒が再びこの風景をじっくりと見渡そうとしたときに掛かる一つの小さな声。
その声に導かれるように奈緒はその方向へと視線を向ければ、そこは歩道のど真ん中に不釣り合いな玉座があつらえられている。
『……あたしいがいのだれかなんて、はじめて……』
この場に不釣り合いな玉座の中心、そこにはさらに不釣り合いな小さな少女が座っている。
その少女の手足は細く痩せこけ、身に纏うぼろきれの様な黒いワンピースはその豪華な玉座とはあまりにも似つかわしくない。
そしてその顔は、今の奈緒をそのまま幼くしたかのようなものであった。
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