モバP「世界中にヒーローと侵略者が現れた世界で」part13
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◆EBFgUqOyPQ
[saga sage]
2016/10/18(火) 02:37:12.78 ID:nZ3oq+wSo
泥をかき分けた先が、ウルティマの最も深いところに触れる。
それに気が付いた奈緒は全身の力を振り絞って、体を前に進め、孤独の玉座へと挑んだ。
だが所詮はここまでの泥はウルティマ『以外』でしかなく、行く手を阻む前座でしかない。
真に奈緒が相対すべき相手は、この奥であった。
「……っと」
奈緒の体は、泥の充満した沼から自由に動ける空間に移ったことによって少し体制を崩しつつも、その場の地面に着地する。
振り返ってみれば、先ほどまで進んでいた泥の沼は存在せず、奥行きのある風景が広がっていた。
そして奈緒は物音一つしないこの静寂の空間を改めて見渡した。
「……遊園地」
泥を抜けた先に広がっていたのは、実にありふれたアトラクションが備わった遊園地であった。
離れた空には巨大な車輪。
身の丈ほどの大きさのマグカップや作り物の艶を出す回転木馬を備えた円形幕。
金属柱を組み上げたレールの上で静止したジェットコースターや海原に進みだすことなく左右に揺れるしかない海賊船。
どこにでもあるような、その言葉を聞けば万人が想起するようなアトラクションが備えられた娯楽の園。
だが現実の遊園地との差異があり、それは上空に広がる空が今にも落ちてきそうなほどの圧迫感を帯びた赤茶色であることだろう。
赤く錆びた空と静止したままのアトラクション、そして不気味なほどに劣化していない設備の数々がこの地の静止を物語っている。
「ここが……あの子の心の中なのか?」
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