モバP「世界中にヒーローと侵略者が現れた世界で」part13
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◆EBFgUqOyPQ
[saga sage]
2016/10/18(火) 02:36:46.31 ID:nZ3oq+wSo
本来その泥の沼は、決して深いものではなく水溜りと大差はない。
しかし、ウルティマの足元だけは例外であり、そこはウルティマの心の源泉であり混沌の中心であった。
その深度は、底なしの如くであり、満たされた泥は強酸のように取り込んだものを同一化するために溶かし始める。
「まだだ。もっと、もっと深く。もっと先へだ」
奈緒は全身に泥を身に纏い、ウルティマの泥の中を潜っていく。
普通ならば取り込んだ異物を溶かし始める暴食の泥だが、奈緒の纏った泥は水と油のように弾き泥の浸食を抑えていた。
それでも一切呼吸は出来ず、見通しの悪く粘性の高い泥は奈緒の行く手を阻む。
「暗い、冷たい、この泥の先。
あたしは知っている。これらが何でもあり、何でもない、決してあたしを満たさない不純物であることを。
そしてこの先、この最も奥底で、あたしは居続けた。この泥はみんなであり、だれでもなく……そしてあたしだ」
そして今奈緒が潜っている泥は、思っていたよりも深いことに気づく。
それは、ウルティマの闇が奈緒よりも深いことを表しており、当時の奈緒を凌駕するほどにウルティマが悪化していることであった。
「……ま、だ……まだ、だ。
深いから、なんだ……酷いからって、どうしたって、いうんだ……。
あたしの孤独より、深くたって……みんながくれた、あたしの幸せより、ぜんっぜん浅いんだよ!」
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