モバP「世界中にヒーローと侵略者が現れた世界で」part13
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◆EBFgUqOyPQ
[saga sage]
2016/10/18(火) 02:41:29.65 ID:nZ3oq+wSo
そしてその獣たちの斉唱は少女には聞こえていない。
どうやら徹底してウルティマの眷属たちは、自らの主を孤立させ続けるつもりなのだろう。
「くそっ!奈緒ちゃん!あたしの手を取れ!
一緒にここを出るぞ!ここの連中は、誰も奈緒ちゃんの味方じゃない。このままじゃずっと一人だ!」
奈緒は足に絡みつく泥を振り払おうともがくがその抵抗は全く意味をなさない。
それでも足が動かないのならば、奈緒は玉座の少女に向けて手を伸ばす。
その手の距離は少女へは未だ遠い。だが奈緒は届かぬ手を伸ばすことに躊躇いはない。
必要なのは少女自身がこの地獄から出ようとする意志だ。
ウルティマが自身の意思でその手を取ろうとするだけで、奈緒は彼女をこの心の最奥から引き上げることはできるだろう。
『……なにをいってるの?おねえちゃん』
だが当の少女は差し出された手を訝しげに見つめる。
ウルティマには差し出された手の意味は分からず、そして奈緒が何を言っているのかも理解できていなかった。
『出るってどこに?ここいがいの、どこにいくの?
ここいがいに、『どこか』なんてないでしょおねえちゃん。
『そと』ってここの『どこか』のことでしょ?』
そもそもウルティマにとって『外』の概念すら知らないものである。
この遊園地こそがウルティマの世界であり、たった一人の孤独こそがウルティマの既知なのだ。
これまでに人々を襲ってきた捕食の髪も所詮は目隠し状態で手を伸ばしたに過ぎない行動である。
そこに意識などなく、それはただの反射行動だ。
それもそのはず、当の本人は誰の声も光も届かない錆色の空の元で孤独に完結しているからである。
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