モバP「世界中にヒーローと侵略者が現れた世界で」part13
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◆EBFgUqOyPQ
[saga sage]
2016/10/18(火) 02:40:08.18 ID:nZ3oq+wSo
奈緒が思い返すは研究所での牢獄の生活。
暴食の核が訴える激烈なまでの空腹は、もともと満たされぬ奈緒にとっては永遠に続く地獄の苦痛そのものであった。
だがそれ以上に辛かったのはその誘惑に負けて、だれかを自分に入れることだった。
「だけどあたしは我慢した。だってそれで食べちゃっても、それはあたしとは違うし、見えなくなってしまうから」
これまでに取り込んだ生命体が、それ以降奈緒の目の前に現れたことはない。
自分の中にいることはわかっても、それで自分に語り掛けてくれるわけでもないのだ。
ただ一緒にいるだけで、目も合わせず、口も利かず、依然自らの孤独は続くのだ。
「だから、ここにいたって絶対に空腹は満たされない。だから!」
奈緒は玉座の少女に向かって手を差し伸べる。
この暗く深いたった一人の王国から、自分と同じ少女を連れ出すために。
暗い水底にいた自分が、今度は同じ少女を底から引き上げるのだと。
『だいじょうぶ。……これからはさみしくないよ。なおおねえちゃん』
だが奈緒が踏み出した足は進まない。
一切動かぬ足はまるで地面に縫い付けられたようであり、冷たい何かが這い上がってくる違和感に思わず奈緒は足元を見る。
「なっ!?……これは、泥!?」
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