264: ◆6QfWz14LJM[saga]
2016/02/19(金) 02:53:16.02 ID:FLcWsv7Mo
下僕を誑かされた怒りなのか、"感応種"は一際大きな声を上げ、新たな眷属を生み出す。
出現した2体を私に向かわせると、"感応種"自身は空高く駆け上った。
神機使いでも届かない上空から、2体を同時に串刺しにした私目がけ、体当たりを仕掛けてくる。
265: ◆6QfWz14LJM[saga]
2016/02/19(金) 02:57:14.70 ID:FLcWsv7Mo
未だ、鼓動は高鳴っている。
だけど、その心境は不思議なほど、落ち着いていた。
ずっと探し求めて、徐々に見えてきた、私の輪郭。
266: ◆6QfWz14LJM[saga]
2016/02/19(金) 03:01:41.87 ID:FLcWsv7Mo
「避けてっ!!」
ナナの叫びが、契機となった。
神機から、より大きく、鋭く研ぎ澄まされた、真紅の槍が生成される。
267: ◆6QfWz14LJM[saga]
2016/02/19(金) 03:04:07.80 ID:FLcWsv7Mo
◇
――宣言通り、何事もなく生還した2人と合流したのは、それからしばらくしての事だった。
268: ◆6QfWz14LJM[saga]
2016/02/19(金) 03:06:07.02 ID:FLcWsv7Mo
「……ふふ」
他愛もない、いつものやりとり。
だけど、その光景が、ひどく懐かしく感じられて。
269: ◆6QfWz14LJM[saga]
2016/02/19(金) 03:08:13.11 ID:FLcWsv7Mo
彼らが見ている私と、私の望み。
それは自覚していなかっただけで、同じものだったのかもしれない。
けれど、過去に揺れて、孤独に戻ろうとした弱さを、否定したくはなかった。
それもまた私の本質で、なかったことにはできない。
270: ◆6QfWz14LJM[saga]
2016/02/19(金) 03:13:35.85 ID:FLcWsv7Mo
「……シエル、渡してやれ」
「ここで、ですか?」
271: ◆6QfWz14LJM[saga]
2016/02/19(金) 03:18:20.89 ID:FLcWsv7Mo
「ジュリウス以外は副隊長に助けてもらってるだろ、ってね……私は、みんなに助けてもらっちゃったけど」
「あいつは無茶な事しか言わないから、結局そんな小物に落ち着いちまったがな」
「それに……渡すまで、時間もかかっちまった」
272: ◆6QfWz14LJM[saga]
2016/02/19(金) 03:20:20.38 ID:FLcWsv7Mo
「……そっか……私で、いいんだ」
得難い喜びと、もう一つの感情が相反する。
もっと早くに自分を知っていれば、ロミオとも、より話すことがあったかもしれない。
273: ◆6QfWz14LJM[saga]
2016/02/19(金) 03:22:46.47 ID:FLcWsv7Mo
ごめん、ロミオ。
結局、仲間に見つけてもらっちゃった。
私がやりたかったこと。
私にしか出来ない事。
274: ◆6QfWz14LJM[saga]
2016/02/19(金) 03:28:06.57 ID:FLcWsv7Mo
隊長編、5章終了
何とかRB発売一周年の日にスレタイ回収まで漕ぎ着けました
今度は土曜あたりの夜に投下できればなと思っています
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