272: ◆6QfWz14LJM[saga]
2016/02/19(金) 03:20:20.38 ID:FLcWsv7Mo
「……そっか……私で、いいんだ」
得難い喜びと、もう一つの感情が相反する。
もっと早くに自分を知っていれば、ロミオとも、より話すことがあったかもしれない。
彼と目標を探し求める苦楽を、共有できたかもしれない。
なのに私は、自分と向き合うことを恐れていて。
今になって彼を失ったことを実感して、湧き上がってきたその感情は、悲しみだった。
気づけば、私はシエルを抱きしめていた。
背中を掴む腕は小刻みに震え、混ざり合った感情は私の目に溜まる。
抑える術を持てないまま、それはついに溢れ出した。
涙、それも人前でなんて、何年振りだろう。
そう考える余裕もなく、私は情動の昂ぶりのまま、泣き喚く。
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