745: ◆A0cfz0tVgA[sage saga]
2016/10/11(火) 01:17:51.67 ID:i8/dHQWr0
その名は『ヴォルデンベルク男爵』。
吸血鬼研究の第一人者と『設定された』一人の男。
間諜達は一人一人がヴォルデンベルク男爵となり、吸血鬼の情報を集める。
そして集められた情報は架空の存在である、ヴォルデンベルク男爵によって取り纏められるのである。
746: ◆A0cfz0tVgA[sage saga]
2016/10/11(火) 01:19:03.34 ID:i8/dHQWr0
幸いにして、その狂気に塗れた実験に使える『囚人(モルモット)』は豊富にあった。
散発的に起こる戦争から得られる捕虜達、ヴラド三世が政敵と認めた貴族、その他諸々である。
スカーレット家は彼等を十分に活用し、日夜実験に明け暮れた。
その間、彼等の館の地下からは断末魔の声が絶えることはなく、館の周辺には夥しい数の墓標が生まれたという。
747: ◆A0cfz0tVgA[sage saga]
2016/10/11(火) 01:20:16.30 ID:i8/dHQWr0
ヴラド三世への『竜の子の刻印』の移植。それは何も滞ることなく成功した。
刻印の発動にも問題なし。発動には処女の血が必要であるという点には多少顔を顰めたが、必要なこととして彼は割り切る。
ただ一つ誤算だったのは、刻印の効果は直ぐに目に見えた形で現れるものではなかったことということだ。
スカーレット家の見立てでは、完全に体が組み変わるまでには最低でも一年の月日を要する。
748: ◆A0cfz0tVgA[sage saga]
2016/10/11(火) 01:21:28.07 ID:i8/dHQWr0
人が人以上の力を手にするためには、相応の対価が必要だ。
聖人が神の力を手にする代わり、常に力の暴発による自滅の危険を背負うように。
無論それは『竜の子の刻印』についても当てはまる。
そして当然、ヴラド三世やスカーレット家もそのことを理解していた。
749: ◆A0cfz0tVgA[sage saga]
2016/10/11(火) 01:22:57.47 ID:i8/dHQWr0
その後に起こったことは、歴史書に記された通りである。
彼は自身に敵対する貴族達を一切の躊躇いも無く処刑し、国の権力を掌握。
さらには貢納の要求のために来訪したオスマン帝国の使者を串刺しにした。
そしてそれに激怒したオスマン帝国が、大軍を率いて攻め込んできた時。
750: ◆A0cfz0tVgA[sage saga]
2016/10/11(火) 01:23:56.92 ID:i8/dHQWr0
一方、歴史の表に出ることがなかったスカーレット家はどうなったのか。
彼等の結末を一言で済ませるならば、『関係者は皆、一人残らず死んだ』。
751: ◆A0cfz0tVgA[sage saga]
2016/10/11(火) 01:26:26.88 ID:i8/dHQWr0
魔術師達が全滅したことで、『竜の子の刻印』の研究は完全に途絶するに至った。
それと同時に、その魔術の詳細を知る者もこの世には一人としていなくなった。
『竜の子の刻印』はワラキア公国にとっての切り札と言えるもの。
諸外国に情報が漏れることは国家の危機と同等のことであったが故に、
752: ◆A0cfz0tVgA[sage saga]
2016/10/11(火) 01:28:03.90 ID:i8/dHQWr0
今日はここまで
当時の情勢に関しては囓った程度なので、突っ込みどころ満載だとは思いますがご容赦を
質問・感想があればどうぞ
753:名無しNIPPER[sage]
2016/10/11(火) 07:27:04.63 ID:uOAclles0
もはや、怨鎖の歴史の意志の傀儡と化したか……
754:名無しNIPPER[sage]
2016/10/11(火) 10:10:30.74 ID:hFppvuE5o
乙です
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