751: ◆A0cfz0tVgA[sage saga]
2016/10/11(火) 01:26:26.88 ID:i8/dHQWr0
魔術師達が全滅したことで、『竜の子の刻印』の研究は完全に途絶するに至った。
それと同時に、その魔術の詳細を知る者もこの世には一人としていなくなった。
『竜の子の刻印』はワラキア公国にとっての切り札と言えるもの。
諸外国に情報が漏れることは国家の危機と同等のことであったが故に、
魔術に関する情報は極々限られた者にのみ知らされていたのだ。
後に残されたのはヴォルデンベルク男爵の名が記された手記のみ。
ワラキア公国の間諜達が西欧全土から集めた吸血鬼の情報と、
それらの文章に紛れ込ませる形で魔術師達が記した『竜の子の刻印』の術式。
魔術界を震撼させる禁術が記された一冊ノートは、ヴラド三世の計画に関わることが無かったがために、
奇跡的に粛清を逃れたスカーレット家の生き残りに継承されることとなった。
彼らはこのノートを手に入れた折、研究に携わっていた同族から聞いていた『人類種からの脱却』、
『我々の悲願』といった断片的な情報から、『魔術の完成はスカーレット家の目指すべき到達点』と判断。
道半ばで死んだ同族の遺志を継ぐため。そしていつしかその無念を晴らすため。
彼らはスカーレット家の威信をかけて、『竜の子の刻印』の完成に腐心するようになっていった。
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