女「死んじゃってゴメン」少女「ほんとにゴメンて思ってます?」
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1:名無しNIPPER[sage saga]
2022/12/09(金) 20:48:05.84 ID:6zmyol1z0
女「いや、実はそれほどでもない」

少女「カスがよ」

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2:名無しNIPPER[sage saga]
2022/12/09(金) 20:50:21.08 ID:6zmyol1z0
女「だってだって、人はいつか必ず死ぬんだもん。しょうがなくない?」

少女「『しょうがない』という言葉は、あとからいくらでも取り返しがつく立場でだけ許されるんですよ。死は不可逆です」

女「まあ、そうかもしれないけど」
以下略 AAS



3:名無しNIPPER[sage saga]
2022/12/09(金) 20:52:19.46 ID:6zmyol1z0
女「わたし死んじゃったんだよねー……。うーん」

少女「おや? やっぱり未練とかある感じですか? そうは見えませんでしたけど」

女「いや、逆に未練とかなーんにも無いのが未練というか」
以下略 AAS



4: ◆/brfqxLTx.[sage saga]
2022/12/09(金) 20:55:06.54 ID:6zmyol1z0
少女「基本的に昼夜は逆転。ほとんど引きこもりで、運動などもってのほか。食事はだいたいピザポテト一袋とかで、何も食べない日もしばしば。こんなの死ぬに決まってますよ」

女「いやーまいっちゃうね。そりゃあ長生きするつもりは無かったけどさ、まさかこの歳で死ぬとはね」

少女「栄養失調をナメちゃいけませんよ。あれは死に至る病です」
以下略 AAS



5: ◆/brfqxLTx.[sage saga]
2022/12/09(金) 21:44:29.27 ID:AaD9S2yd0
女「それで、わたしは死んだわけだけど、キミはどうしてこんなとこにいるの? もしかしてもしかして、キミも死んだの?」

少女「バカ言わないでください。私はもともとこっち出身です」

女「あ、そうなんだ」
以下略 AAS



6: ◆/brfqxLTx.[sage saga]
2022/12/09(金) 21:53:50.09 ID:AaD9S2yd0
女「こっち出身っていうけど、どうして日本に来てたの? なんかの特殊任務とか?」

少女「そんな御大層なものじゃないですよ。しょせんは平社員なので。地上にいたのは、ただの出稼ぎです」

女「出稼ぎって」
以下略 AAS



7: ◆/brfqxLTx.[sage saga]
2022/12/09(金) 21:55:22.34 ID:AaD9S2yd0
少女「さーて、あんまり長居してもなんですし、本題に入りましょうか」

女「本題って?」

少女「というわけで、判決を言い渡します。心して聴くように」
以下略 AAS



8:名無しNIPPER[sage saga]
2022/12/09(金) 21:56:32.06 ID:AaD9S2yd0
少女「なにか、ご質問は」

女「山ほどあるけど」

少女「ええ、良いですよ。いくらでも付き合います」
以下略 AAS



9: ◆/brfqxLTx.[sage saga]
2022/12/09(金) 21:57:39.83 ID:AaD9S2yd0
女「じゃあ、質問」

少女「はい」

女「キミは、結局何者なの?」
以下略 AAS



10: ◆/brfqxLTx.[sage saga]
2022/12/09(金) 21:58:46.68 ID:AaD9S2yd0
女「じゃあさ、じゃあさ、獄卒ってどんな仕事してるの?」

少女「改めて訊かれると難しい質問ですね……。まあ、地獄の雑用とおもっていただければ」

女「雑用ねえ」
以下略 AAS



11: ◆/brfqxLTx.[sage saga]
2022/12/09(金) 21:59:46.54 ID:AaD9S2yd0
少女「だから今のこの問答は、『最後に言い残すことはあるか?』というやつですね」

女「そっかー……。わたしのことはあんまり忘れないでいてほしい……。一週間くらいは」

少女「一週間といわず、お姉さんみたいな人なら私は忘れませんよ。安心してください」
以下略 AAS



12: ◆/brfqxLTx.[sage saga]
2022/12/09(金) 22:00:52.93 ID:AaD9S2yd0
少女「お姉さんの主観時間がどんどん引き伸ばされていって、いつか無限大に発散すれば、そこが"末路"です。これで答えになってますか?」

女「ろくな末路じゃないというのがわかったよ」

少女「わかってくれてなによりです」
以下略 AAS



13: ◆/brfqxLTx.[sage saga]
2022/12/09(金) 22:01:32.65 ID:AaD9S2yd0
少女「地上の伝承でわかりやすいのは、賽の河原あたりでしょうか。あれなんて、明らかに『若くして死んだこと』への罰です」

女「あれは、幼い子どもが亡くなったときに限った話じゃないの? だったら老いて死ぬのは罪ではないの?」

少女「子供だろうが老人だろうが同じことですよ」
以下略 AAS



14: ◆/brfqxLTx.[sage saga]
2022/12/09(金) 22:02:30.26 ID:AaD9S2yd0
女「わたしぼっちだし、実家からもほとんど勘当されてるようなもんだし……」

少女「学校とか、仕事とかではどうですか?」

女「大学はずいぶん前に中退したしなあ……。最近は、仕事もしてなかった」
以下略 AAS



15: ◆/brfqxLTx.[sage saga]
2022/12/09(金) 22:03:13.22 ID:AaD9S2yd0
女「わたしのことはさ、もう忘れてよ」

少女「言ってることが、さっきと違うじゃないですか」

女「ゴメン……。わたしなんかさ、本当にろくなやつじゃないんだよ。ゲームだって、熱帯行けばもっと上手い人いるよ。街に出れば、わたしよりおしゃれな人は大勢いる」
以下略 AAS



16: ◆/brfqxLTx.[sage saga]
2022/12/09(金) 22:03:50.99 ID:AaD9S2yd0
女「死んでキミが悲しんでくれるのなら、もうちょっと生きていても良かったかなあ、なんて思わなくもないね」

少女「私は散々言ったつもりだったんですけどね。結局、お姉さんは聞く耳を持っちゃくれませんでした」

女「わたしのこと好き好きーって?」
以下略 AAS



17: ◆/brfqxLTx.[sage saga]
2022/12/09(金) 22:04:22.78 ID:AaD9S2yd0
女「じゃあ、最後にもう一つききたいことがあります」

少女「最後ですか? 別に、遠慮しなくていいのに」

女「このままずっとキミを束縛するのも良くないしね」
以下略 AAS



18: ◆/brfqxLTx.[sage saga]
2022/12/09(金) 22:05:37.37 ID:AaD9S2yd0
女「ゴメンなさい、カスのロリコンでゴメンなさい……」

少女「べつに良いですよ。そもそも、ロリじゃないですし」

女「じゃあ、失礼して……」
以下略 AAS



19: ◆/brfqxLTx.[sage saga]
2022/12/09(金) 22:06:12.97 ID:AaD9S2yd0
女「……なーんにも感じねえや」

少女「そりゃあ、そうでしょうね。心臓も、脳も、皮膚もないんですから」

女「いつもはこう……なんか温泉みたいなにおいで、吸うとめっちゃキマるんだよ。それがない」
以下略 AAS



20: ◆/brfqxLTx.[sage saga]
2022/12/09(金) 22:06:58.38 ID:AaD9S2yd0
女「よし! もう気は済んだよ。もうどこへなりとも行きな!」

少女「そうですか。じゃあ、そろそろ行きますね」

女「……さみしくなるねえ」
以下略 AAS



21: ◆/brfqxLTx.[sage saga]
2022/12/09(金) 22:07:25.45 ID:AaD9S2yd0
女「死ぬのが罪だなんて、やっぱり思えないよ。だって、遅かれ早かれみんな死ぬんだからさ。でもさ、もっとキミの話を聞けばよかったって、今は後悔してる。それは、間違いなくわたしの罪だ」

少女「それだけわかってくれたら、今は十分です。いっぱい後悔して下さい。幸い、時間は山程あるんですから」

女「うん」
以下略 AAS



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