203: ◆3U.uIqIZZE[sage]
2022/09/12(月) 22:33:46.03 ID:nL4eep7DO
「これよこれ、レナの知ってる万々歳の味よ!」
「美味しいよ、鶴乃ちゃん!」
「そういってもらえて嬉しいよ。私も一緒にさせてもらうね」
鶴乃も夕飯の席に加わり、三人でしばし談笑しつつ、食事を勧める。
204: ◆3U.uIqIZZE[sage]
2022/09/12(月) 22:38:57.36 ID:nL4eep7DO
「この数ヵ月で、あっという間だったよね」
「ほーんとね。にしても、態々万々歳のその後を見に行くなんて、
レナも人のこと言えないけど、鶴乃のこと気にかけてるのね」
「昨日、ラビさんたちと話があって、その帰りにタクシーで遠回りしてね」
「ふーん…って、リーダー同士での会話って、しかも珍しい相手ね。何かあった?」
205: ◆3U.uIqIZZE[sage]
2022/09/12(月) 22:46:27.93 ID:nL4eep7DO
「ありがとう。鶴乃さん、色々あったらしいけど大丈夫?」
「心配してくれてありがとう。葬儀も引っ越しも済んで、鶴乃ちゃんも登校を再開してるよ」
「ここに来るとき、お店に寄ったらお店がなくなってたんだけど……」
「鶴乃ちゃんのお父さんがお年でね、それで……」
「そうだったんだ。鶴乃さん、本当に大変だったんだね」
206: ◆3U.uIqIZZE[sage]
2022/09/12(月) 22:50:00.16 ID:nL4eep7DO
静香の話によると、霧峰村の近くを通る川の底には、魔法少女の遺骸が沈んでいるという。
遺骸を引き上たあとは分寺に埋葬するが、遺骸は既に白骨化してしまっている。
引き上げた後は遺骸を故人ごとに分けたいが、どの遺骸が誰なのかを正確に判別できない。
そのため、引き上げた遺骸は一つの場所に埋葬することとし、分寺の敷地内に亡くなった巫の
慰霊碑を立てようとしている、ということだった。
207: ◆3U.uIqIZZE[sage]
2022/09/12(月) 22:55:28.78 ID:nL4eep7DO
いろはのノートPCに、灯花から二つの計画の素案が届いた。
一つは霧峰村の水徳寺分寺建立後、慰霊への協力。もう一つは二木市の公営霊園増設後、
地下墓地に埋葬されている魔法少女の亡骸を、そちらへ移し、慰霊するというものだった。
どちらも魔法少女の供養を目的とした計画であり、前者は魔法少女グループの各陣営内で
208: ◆3U.uIqIZZE[sage]
2022/09/12(月) 23:03:55.10 ID:nL4eep7DO
『やっちゃんとは相談しなかったんです?』
「やちよさんからは、各陣営のリーダーとの交渉は、私に任せると言われています」
『でしたら、ワタシにいきなり丸投げするのではなく、少しは自分で考えないと』
「……考えて思いつかなかったので、連絡しました。すみません」
『うーん……頼られるのは、悪い気はしませんけどね。でも、今後は気を付けてほしいです』
209: ◆3U.uIqIZZE[sage]
2022/09/12(月) 23:07:23.11 ID:nL4eep7DO
「これから決めようとしていました。連休中にお会い出来ればと。連休初日は、
さなちゃんの新居で会合ですから、残りのどこかになりますが」
『では、日程が決まったら連絡を下さい。紅晴さんとの話を煮詰めるのは、
連休初日の会合を終えた後にしましょう』
「分かりました」
210: ◆3U.uIqIZZE[sage]
2022/09/12(月) 23:14:51.17 ID:nL4eep7DO
「鶴乃さん、この度は……」
「ありがとう、さな。こっちは一段落したよ」
「|もう落ち着いた?|」
「なんとかね。葬儀のことは落ち着いたけど、お父さんが入院したし、
お店のことは片付いたけど、環境が一気に変わり過ぎて眩暈もね」
211: ◆3U.uIqIZZE[sage]
2022/09/12(月) 23:17:27.05 ID:nL4eep7DO
「家出宣言をして大分経っていますけど、私の食事が未だに用意されていたんですよ。
部屋に食事を置いて、しばらくしたら下げられてましたが、それに変化があって」
「|代わりに他の人が食べてたりしてたとか?|」
「はい。母に作った食事をしばらくすると取りに来るんですが、自分で食べてから
食器を下げるんです。それで『さなはまだ家にいる』って言うんです」
212: ◆3U.uIqIZZE[sage]
2022/09/12(月) 23:18:49.93 ID:nL4eep7DO
本日はここまでです。続きは来週月曜日以降に。
213: ◆3U.uIqIZZE[sage]
2022/09/21(水) 23:01:45.81 ID:WCbA+PmGO
>>211からの続き
連休初日の会合日。
さなの新居は、里見メディカルセンター近くの森に建てられた、堅牢な木造二階建の住宅だった。
ここには灯花の家の使用人が、定期的に訪れて手入れを行っているためか、建物の状態は良好だった。
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