210: ◆3U.uIqIZZE[sage]
2022/09/12(月) 23:14:51.17 ID:nL4eep7DO
「鶴乃さん、この度は……」
「ありがとう、さな。こっちは一段落したよ」
「|もう落ち着いた?|」
「なんとかね。葬儀のことは落ち着いたけど、お父さんが入院したし、
お店のことは片付いたけど、環境が一気に変わり過ぎて眩暈もね」
「いろはさんから、お店はもう閉めたと聞きましたよ」
「|最後にもう一度、お店を営業するとも聞いてた|」
「それがね、お母さんとおばあちゃんがあんなことになって、葬儀があったからね。
お父さんの入院が早く決まって、色々あったから無理になっちゃったんだ。店の
解体も土地の売却も済んで、私は引っ越し先の新居で暮らしてるよ」
「そうでしたか……」
「|鶴乃はどこへ引っ越したの?|」
「北養区だよ。お父さんの知り合いの不動産屋さんに、紹介してもらえたんだ。
そういえば、さなも北養区へ移住したんだよね。移住先が近かったら、時々、
会えるかもしれないね」
「正直、一人だと心細かったので、お会いできたら嬉しいです」
「ところで、さな。よく義実家に行く気になったね。あんなに酷い家だって言ってたのに」
「自分でも不思議なんですけど、いざ本当に二度と顔を見なくなるんだと思ったら、
最後にもう一度だけ見ておこうって気になったんです」
「|一家の様子はどうだった?|」
「変わらずですよ。だけど、分かったこともあって無駄足ではなかったです」
「|それは、どんなこと?|」
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