289: ◆vVnRDWXUNzh3[saga]
2024/08/01(木) 23:54:54.67 ID:5POtTtSP0
西住さんの視線にも、それを取り巻く保安官や衛生班の囁きにも、どちらも恐らく気づいている筈。アリサさんはその中を、怯むことなく肩で風を切り堂々と去っていく。
「………、………………、〜〜〜〜〜っ!!!」
ただしその歩調は、西住さん達から離れるにつれて加速する。7、8メートル離れたところで大股に、15メートル程になると小走りに近くなり、視線が完全に切れたところでほぼほぼ“疾走”と表現していい速度になる。
290: ◆vVnRDWXUNzh3[saga]
2024/08/01(木) 23:57:31.88 ID:5POtTtSP0
…………さっきの“大論陣”の前にも色々と積み重ねがあったらしい。壊れ方の激しさも然ることながら、言ってる内容の意味不明ぶりがウチの司令官とタメ張れるレベルだわ。
そう言えば、アリサさんに想い人がいるってのは割とこの界隈じゃ有名な話ね。恐らく“タカシ”とやらがその相手なのでしょう。
例の全国戦車道大会における西住さん達に対しての無線傍受の件とコレが合わさり、屈指の名門校においてフラッグ車を任されるほどの腕前を持ちながら彼女の人気は少なくともウェブ上の関連ニュースなんかを見る限り決して高いとは言い難い。
291: ◆vVnRDWXUNzh3[sage saga]
2024/08/02(金) 00:00:33.66 ID:Aw4fNQD/0
「……因みに、海自や鎮守府関係者の間でもなかなか有名よ、アリサさんは」
さり気なく阿音から行われた目配せの意味を察知し、私も後を受けて便乗する。
……まっ、今し方助けて貰った恩があるからメンタルケアぐらいは吝かじゃないわ。それに、別段嘘はつかないし。
292:名無しNIPPER[sage saga]
2024/08/02(金) 13:05:42.60 ID:mbtn+/ec0
更新おつです
293:名無しNIPPER[sage]
2024/08/05(月) 01:28:32.82 ID:jCyH7wwuo
続き来てた!また楽しみに待ってます!
294: ◆vVnRDWXUNzh3[sage saga]
2024/08/07(水) 21:56:19.71 ID:A23xFse80
……さて。
和気藹々とした“ガールズトーク”で緊張はほぐれ、僅かな時間だけどそれこそしっかりまともな休息を取ることができた。
それじゃ、憩いの時間は終わり。仕事を再開しなくちゃね。
295: ◆vVnRDWXUNzh3[saga]
2024/08/07(水) 21:57:45.23 ID:A23xFse80
そう。私の“勘”が激しく打ち鳴らした警鐘も、冷静に辿れば異様なまでの士気の高さ以外で出所は今阿音が指摘した内容だ。
西住さんがこの陣地の指揮官に“なってしまった”ことは、最早やむを得ない。自身の無力さに悔いと苛立ちはあっても、周りであれ本人であれ取った選択肢そのものに目くじらを立てるのはただの八つ当たりよ。
一介の女子学生でしかない本人はともかく、周りの“大人”は止めるべきだった。……なんてことをしたり顔でほざく「専門家」は後を絶たないでしょうけど、「現場の人間」から言わせて貰えばそんなもんは無責任極まりない傍観者の結果論でしか無いわ。
296: ◆vVnRDWXUNzh3[sage saga]
2024/08/07(水) 21:59:18.02 ID:A23xFse80
先ず前者、負傷者の回復。確かに陣地の戦闘人員が潤沢とは言い難いことは理解できるけど、それでも明確に予備兵力と呼べる存在はいる。西住さんがチ級にハッタリかます際に“門”付近で待機させた、50人ほどの集団がソレだ。
負傷者・戦闘不能者の人数は見たところせいぜい20人前後、しかも重篤者は殆どいなかった。
防衛体制を整えるだけなら、これらを入れ替えれば済むはず。わざわざ非戦闘員をこっちから投入してまで急ピッチで治療させる意味合いは、限りなく薄い。
寧ろその只中に突然チ級が乗り込んできたり【暴徒】や【寄生体】が紛れ込み侵入していれば、混乱はより拡大する。あの時点における再襲撃の可能性が何処まで0に近くとも、“防衛”に当たって余分な動きを挟む理由にはならない筈だ。
297: ◆vVnRDWXUNzh3[sage saga]
2024/08/07(水) 22:02:13.79 ID:A23xFse80
「………OK!」
アリサさんは瞑目し俯きながら、私と阿音が代る代る口にする“推理”を聞いていた。やがてこちらが語り終わると、大きく笑みを浮かべ瞳を見開き、ハタと両膝を打つ。
└(*゚ヮ゚*)┘〜゚
298: ◆vVnRDWXUNzh3[sage saga]
2024/08/07(水) 22:05:37.90 ID:A23xFse80
「ねえムラクモ、サスガ二等陸尉殿。貴女達はニシズミが“ナニカをやらかそうとしてる”事までは察したけど、恐らくその度合を見誤ってるわ。
嗚呼、別に責めてるわけじゃないのよ?だって、一介の女子高生が自発的に並み居るモンスター共と渡り合って制圧された学園艦を“奪還”しようだなんて、ハリウッド映画の脚本並みに十分ブッ飛んでるもの」
「……ええ、そうね。私も、多分阿音も“ソコ”がたどり着いた結論だったわ」
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