232: ◆vVnRDWXUNzh3[sage saga]
2023/04/18(火) 23:29:31.15 ID:an/t4nPL0
そして、仮に弾薬が潤沢にあったとしても、ではのんべんだらりと戦っている暇があるかと言えば答えは否だ。
『───ズァアアアアアアアアアッ!!!!』
└(*・ヮ・*メ;)┘「あー………Muscle-03より01並びに02、新たな“艦影”を11時方向に確認したけど」
233: ◆vVnRDWXUNzh3[sage saga]
2023/04/18(火) 23:41:42.86 ID:an/t4nPL0
駆逐イ級やハ級といった“非ヒト型”は、どんなに小さいものでも5メートル前後。超絶巨大とはいえ高層ビルの類も無ければ山や森が密集しているわけでもない平坦な“甲板上”で多数展開していれば、否が応でもその姿は目に留まる。
だけど実際には、確認できるのは駆逐ナ級が二隻と軽空母ヌ級がEliteも含めて三隻のみ。しかもヌ級は、今なお艦載機をちらほらと吐き出し続けるのみで砲弾は一発も放っていない。
にも関わらず、先程まで行なわれていた“対地砲撃”はどう少なく見積もっても五、六十隻分に相当する分量だった。ならば最低でも、それだけのヒト型が学園艦内にいると考えるべきよね。
234: ◆vVnRDWXUNzh3[sage saga]
2023/04/19(水) 00:20:07.92 ID:EeDdit1v0
そして私の見立てによれば、向こうの優先順位は恐らく“校舎への侵入阻止”の方が遥かに高い。数が膨大であるため制御しきれていなかった可能性を差し引いても、【暴徒】や【寄生体】の攻撃から感じる“殺意”はホンモノだった。
本当に目的が“生け捕り”だったとしても、向こうの感覚としては恐らく「死なずに捕らえられたなら御の字」ぐらいの感覚なんじゃないかしら。
(………自分で言うのもアレだけど、仮にそうならなんか【別に対戦でも旅パとしても大して強くないけど珍しいポケモンにとりあえずモンスターボール投げてる】みたいな感じでめちゃくちゃ腹立たしいわね)
235: ◆vVnRDWXUNzh3[sage saga]
2023/04/19(水) 01:10:51.87 ID:EeDdit1v0
風切り音が。
小銃弾や機銃弾よりは遥かに巨大な質量を持つ鉄の塊が。
一発の“砲弾”が、私の頭上数メートルの位置を駆け抜けた。
236: ◆vVnRDWXUNzh3[sage saga]
2023/04/19(水) 01:21:06.52 ID:EeDdit1v0
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237: ◆vVnRDWXUNzh3[sage saga]
2023/04/19(水) 01:57:22.47 ID:EeDdit1v0
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238:名無しNIPPER[sage saga]
2023/04/19(水) 10:08:41.32 ID:mR2W/sLr0
更新おつです
ピンチに軍神来る(ただしJK)
239: ◆vVnRDWXUNzh3[saga]
2023/07/26(水) 21:18:01.00 ID:1kNqHEos0
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240: ◆vVnRDWXUNzh3[sage saga]
2023/07/26(水) 21:19:49.62 ID:1kNqHEos0
出会った、なんて上等で運命的なモンじゃない。私が初めて彼女を“見た”のは、【第63回全国戦車道大会】の試合を映していたテレビの画面越しでのこと。
元々興味はあったと言えど、その時はまだのめり込む程ではない。山と積まれた書類との憂鬱な長期戦の辛さを少しでも緩和できればという、所謂「作業用BGM」として点けただけのつもりだったわ。
だけど。
241: ◆vVnRDWXUNzh3[sage saga]
2023/07/26(水) 21:22:44.85 ID:1kNqHEos0
……少しばかり“不愉快な記憶”のせいで熱くなってしまったけれど、ほぼ全ての試合が運や偶然に縋り頼った勝利であったこと自体はさっき述べた通り否定しない。
バタバタと慌ただしく、不格好でコミカルな、終わった後に「何で勝てたのか」と首を傾げてしまう、結果オーライを辞書で引いた時に例示の一つとして出てきてしまいそうな、そんな試合運びの数々。
直前まで黄金期を築いていたチームや、その黄金期を終わらせたチームのような“強者”の戦い方からは遥か遠くに位置するもの。
242: ◆vVnRDWXUNzh3[sage saga]
2023/07/26(水) 21:26:31.14 ID:1kNqHEos0
別に、今の境遇にもう不満はない。寧ろ、あの無能な司令官から常に楽しい【いくさ場】とぶっ飛んだ愉快な日常を用意してくれる今のアイツに上官が変わったことを考えれば──比べ物にならないほど頭がおかしいことを差し引いても──最早幸運とさえ捉えられる。
ただ、私が彼女のような強さを、物理的ではなく精神的な強さを最初から備えていたなら。あの愛しい“地獄”ももう少し早くもう少しマシな環境にできたんじゃないか。そう思わずには居られない。
西住さんは、それを“表”の世界にいたままで成し遂げた。腐り果てた価値観と悪意的な謀略に、“希望に眼を輝かせ使命感と義務感に燃える小娘”のまま抗い抜いた。
艦娘として、身体能力や武力は私の方が遥かに勝っているかもしれない。だけどその精神力は、憧れ、羨み、私もそうありたいと望んでしまうほど強く気高いものだった。
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