234: ◆vVnRDWXUNzh3[sage saga]
2023/04/19(水) 00:20:07.92 ID:EeDdit1v0
そして私の見立てによれば、向こうの優先順位は恐らく“校舎への侵入阻止”の方が遥かに高い。数が膨大であるため制御しきれていなかった可能性を差し引いても、【暴徒】や【寄生体】の攻撃から感じる“殺意”はホンモノだった。
本当に目的が“生け捕り”だったとしても、向こうの感覚としては恐らく「死なずに捕らえられたなら御の字」ぐらいの感覚なんじゃないかしら。
(………自分で言うのもアレだけど、仮にそうならなんか【別に対戦でも旅パとしても大して強くないけど珍しいポケモンにとりあえずモンスターボール投げてる】みたいな感じでめちゃくちゃ腹立たしいわね)
一応、チ級が“ライン超え”の直前に私の“不殺”に対する最後の努力として白兵戦を挑んできてくれるなら、まだ突破の目は残る。けど、さっきの交戦で既にチ級が二隻やはり近接白兵戦闘で沈められている以上期待薄だわ。だったら脇の二人ごと機銃掃射でも浴びせかけて、たまたま生きてたら回収の方が安全で合理的だ。
……………全く。戦術も戦略も散々あの鎮守府で学んできたつもりだけど、やっぱりどこまで行っても“実戦”ってのはままならないものね。
心の中で深く深くため息をつきつつ、私はUSPを胸元にしまい、入れ代わりにもう1つの“電探装置”を取り出す。
装置の真ん中辺り、微かに盛り上がっている部分を親指で押すと、形状がレイピアやサーベルの柄のようにやや持ちやすく変形し、先端部分から今もう片方に持っているものと同様に白兵戦闘用の黒いブレイドが飛び出した。
「01より02並びに03、白兵突撃用意。銃弾は学園校舎までの残余1kmまで極力温存を意識して頂戴。
私が、最大出力で道を開ける」
∬メ´_ゝ`)「……02、了解」
└(*・ヮ・*;メ)┘「ぜ、03了解。なぁ01、叢雲ちゃん、自棄を起こしちゃダメだぜ?」
「鈴、あんたさっきの“ロマン”とやらはどこに行ったのよ」
人聞きが悪いわね、別に自棄なんか起こしちゃいない。死ぬ気なんかこれっぽっちもないし、この状況に対して諦めたわけでもないわ。
「それに、この程度の包囲で自棄を起こすほど軟弱だと思ってるなら────」
ただ、私の無茶苦茶に着いてきてくれるようなイカれた二人も巻き添えで危機に陥っている以上、
「─────駆逐艦・叢雲を、ナメないでほしいわね」
その危機を脱するために、私が最も大きなリスクを背負うのが当然というだけの話だ。
「Muscle Team、今一度“出撃”する!着いていらっしゃい!!」
自らを奮い立たせるため、包囲網の圧を跳ね除けるため、声高に叫び一歩踏み出す。
目標、本校舎への直進。殆ど跳躍に近い形で一気に正面の【暴徒】と【寄生体】の大群との距離を詰め、両手のブレイドを振りかざし──────
それが振り下ろされる直前。
“砲声”が、空気を震わせた。
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