8: ◆xa8Vk0v4PY[saga]
2022/06/06(月) 00:36:45.98 ID:Sev9O2YP0
「お前のポテンシャルはこんなものじゃない。もっと資金力もコネクションもあるところに行けば
すぐトップアイドルになれる。俺が保証するよ」
親友は、自分を信じてこの話をしてくれた。
自分の為に、自分を送り出す話をつけてくれた。
9: ◆xa8Vk0v4PY[saga]
2022/06/06(月) 00:37:21.94 ID:Sev9O2YP0
輝子は手渡された地図を眺め、指定された場所へ来た。
そこは新しいプロダクション。
「すごい…大きいな……」
10: ◆xa8Vk0v4PY[saga]
2022/06/06(月) 00:40:36.86 ID:Sev9O2YP0
自分の事務所にやって来た彼女をじろじろと眺めると、吐き捨てるように呟いた。
「前の事務所ではどんな扱いだったかは知らねえが、ここでは俺の言う事に従え。分かったな?」
「あっ・・・は、はい」
11: ◆xa8Vk0v4PY[saga]
2022/06/06(月) 00:42:10.58 ID:Sev9O2YP0
「なんだ?嫌なら帰るか?」
半泣きの彼女を見た男は、小さく舌打ちをして問いかけた。
輝子は僅かに首を横に振る。
親友が自分の為に連れてきてくれたのだ。初日に帰れるわけもない。
12: ◆xa8Vk0v4PY[saga]
2022/06/06(月) 00:43:15.84 ID:Sev9O2YP0
驚いたように眉を動かす男に向かって、溜め込んだ怒りを思い切り吐き出す。
「メタルは最高にカッコいい音楽だ!!いつも私を支えてくれたトモダチなんだ!!
お前はメタルをまともに聴いた事があるのか!?そんなご大層な事言えるほどには聴き込んだんだろうな!?
デスメタルを!!ブラックメタルを!!スラッシュメタルを!!ありとあらゆるヘヴィメタルを聴いたんだろうな!?」
13: ◆xa8Vk0v4PY[saga]
2022/06/06(月) 00:44:13.47 ID:Sev9O2YP0
「なんだ、気付いてなかったのか?」
男は彼女を鼻で笑う。
「親友が、私を捨てる…?そんなこと……」
14: ◆xa8Vk0v4PY[saga]
2022/06/06(月) 00:45:54.44 ID:Sev9O2YP0
「分かったか?キノコもメタルも、金輪際手を出すな」
彼女は何も言う事ができず、うつむいたまま黙る。
「返事はどうした!!」
15: ◆xa8Vk0v4PY[saga]
2022/06/06(月) 00:46:36.84 ID:Sev9O2YP0
打合せが終わり、輝子は自分の家に帰って来た。
ふらふらとおぼつかない足取りで、目は虚ろで、元気どころか生気を感じない。
家は暗く、誰もいなかった。
電気を点け、独りの家に足を踏み入れた。
自室に入る。やはり暗い部屋の明かりを点けると、部屋の隅にはトモダチが、キノコが置いてあった。
16: ◆xa8Vk0v4PY[saga]
2022/06/06(月) 00:47:25.65 ID:Sev9O2YP0
「こいつがお前らとユニットを組む事になった星だ。おら、挨拶しろ」
次の日事務所に行くなり、マネージャーは輝子を二人の少女の元へ連れて行った。
「ど、どうも、星輝子です。よろしく……」
17: ◆xa8Vk0v4PY[saga]
2022/06/06(月) 00:48:18.80 ID:Sev9O2YP0
「全員チビで組ませた事で察しはついてるかもしれんが、ターゲット層はロリコンのオタクだ。庇護欲を煽るようにオタクに媚びろ。」
マネージャーは冷たい目で三人に目配せする。
「キモオタ狙いだから歌や踊りは別に見られないだろうが……うちの事務所に泥を塗らないように死ぬ気でやれ」
18: ◆xa8Vk0v4PY[saga]
2022/06/06(月) 00:49:59.22 ID:Sev9O2YP0
輝子は頭を掻きながら、おずおずと再び尋ねる。
「どんな事、言われたの?」
幸子は少し考えて答える。
64Res/75.97 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20