Bye-byeばさらガール
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46: ◆VHvaOH2b6w[saga]
2021/12/20(月) 13:32:46.37 ID:86/EQe0g0

 思い返せば、私は朋花が何者かを知らなかっただけに、ごく普通の……お母さんに言わせればやや無愛想な対応を朋花にしていた。
 朋花にとってはそれが、居心地が良かったのかも知れない。
 しかしどこに行っても同じとは限らない。
 私は花屋になるかも知れない。
以下略 AAS



47: ◆VHvaOH2b6w[saga]
2021/12/20(月) 13:33:32.39 ID:86/EQe0g0

「別に花屋になりたくないとか、そういうわけじゃない」
 ガーデンテラスのあるカフェに入ると、私は朋花に想いをぶつけた。
 幸い他に誰もお客さんはいない。
「花は好きだし、店の手伝いも嫌じゃない。でも、私ってそれだけなのかな」
以下略 AAS



48: ◆VHvaOH2b6w[saga]
2021/12/20(月) 13:34:17.42 ID:86/EQe0g0
「今以上に子豚ちゃんたちが増えた時、私の声が届かない子豚ちゃんがもしいたら……私の姿を見ることができない子豚ちゃんができてしまったら……」
「朋花は今以上に、子豚ちゃんを増やしたいんだ」
「もちろんですよ〜。最終的にはすべての人を、子豚ちゃんにしたいと考えていますから〜」
「ふふっ。壮大だね」
 彼女の言う『すべての人』の中に、私はいるんだろうか?
以下略 AAS



49: ◆VHvaOH2b6w[saga]
2021/12/20(月) 13:34:54.70 ID:86/EQe0g0
「私は聖母になればいい、って後押ししてくださったのは凛さんですよ〜?」
 確かに言った。
 朋花は聖母になるんだよ、それでいいと私は言った。
 え? じゃあ朋花は、私がそう言ったから決意したの?
 決意できたの?
以下略 AAS



50: ◆VHvaOH2b6w[saga]
2021/12/20(月) 13:36:18.34 ID:86/EQe0g0
「そうなんです。その道では有名なその方は、私の顔を見るなり『この子は傾城いや、傾国の相がある』……と」
 相変わらず、朋花の話は難しい言葉が多い。
 やはり古い……んだと思う家柄のせいだろうか。
「傾城というのは、文字通り城が傾く……つまり、私の為に城が傾くことになるという意味ですね〜」
「お城が傾く……ってそれは、重さで?」
以下略 AAS



51: ◆VHvaOH2b6w[saga]
2021/12/20(月) 13:37:18.17 ID:86/EQe0g0
「城が傾くのは、私が美人だからですよ〜? 私を巡って沢山の人が争い、奪い合い、そして身を滅ぼしていくからです〜……」
 そのせっかくの笑い声が、話していくうちに沈痛なものに変わっていく。
「美しく、珍しい花があった時、人はそれを自分のものにしようとするんですよ〜ましてその花が、世界にひとつだけ……その人しかいないのだとしたら……」
「その人を巡って争いがおこる……城が傾く、ってわけか。じゃあ傾国っていうのはつまり、朋花をめぐって国が傾いちゃう事態になるって意味なんだ……」
「無論、傾城や傾国というのはひとつの言葉です。ですが実際に、私を巡って争いがあったことは事実なんですよ〜」
以下略 AAS



52: ◆VHvaOH2b6w[saga]
2021/12/20(月) 13:38:14.49 ID:86/EQe0g0
「今さ、花のこと色々とお父さんに教わってるんだよね」
「……はい〜?」
「ポインセチアってあれ正確には花じゃないんだよ。花に見える部分って苞って言って葉っぱが変化したものなんだって」
「……知ってますよ〜」
「あと、リザンテラって花は地下で咲くんだって」
以下略 AAS



53: ◆VHvaOH2b6w[saga]
2021/12/20(月) 13:38:54.71 ID:86/EQe0g0
 結局私は、彼女を泣かせてしまっている。
 当たり前のことだけど、朋花は私の意図なんかお見通しだった。
 そう。私の、朋花にしゃべらせたくないという気持ちをわかっていてくれ、感謝の涙を流しているのだ。
「……うん」
 私も朋花を抱きしめた。
以下略 AAS



54: ◆VHvaOH2b6w[saga]
2021/12/20(月) 13:39:41.46 ID:86/EQe0g0

 事態はなにひとつ好転していない。
 私は将来の夢……というか自分がなりたいものを見つけられないでいるし、朋花は聖母として今後どうしていいのかわからないでいる。
 それでも時間は過ぎていく。
 もしかして、この先もずっとそうなのだろうか。
以下略 AAS



55: ◆VHvaOH2b6w[saga]
2021/12/20(月) 13:40:17.82 ID:86/EQe0g0

 歌は好きだ。歌うのも、聞くのも。
 学校帰りに街中でスマホを見ていたら、ふと楽しそうな歌声が聞こえた。
 目を上げると、とあるビルに映し出された街頭ディスプレイでアイドル達が歌い踊っていた。
 そうだ、テレビでちょっと見たことがある。確か765プロという事務所のアイドル達だ。
以下略 AAS



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