50: ◆VHvaOH2b6w[saga]
2021/12/20(月) 13:36:18.34 ID:86/EQe0g0
「そうなんです。その道では有名なその方は、私の顔を見るなり『この子は傾城いや、傾国の相がある』……と」
相変わらず、朋花の話は難しい言葉が多い。
やはり古い……んだと思う家柄のせいだろうか。
「傾城というのは、文字通り城が傾く……つまり、私の為に城が傾くことになるという意味ですね〜」
「お城が傾く……ってそれは、重さで?」
唖然とした表情を見せた朋花は、手にした扇子で顔を隠してしまう。
と、その肩が小さく震えている。
もしかして朋花、笑ってる?
えー見たい、見たい。
いつものすました微笑みじゃない、笑うのを必死でこらえている朋花の顔を、私は見たい。
身を乗り出した私から顔を背けながら、朋花は続けた。
その声はやっぱり、ちょっと笑っている。
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