32: ◆QlCglYLW8I[saga]
2021/09/25(土) 22:14:58.30 ID:rdad/mqRO
「今日も随分並んでるな」
俊太郎が呆れたように呟く。ビルを取り囲むようにできている行列は、ざっと5、60人くらいかな。
33: ◆QlCglYLW8I[saga]
2021/09/25(土) 22:15:26.22 ID:rdad/mqRO
*
それは、去年の7月の末、蒸し暑い夜だった。
34: ◆QlCglYLW8I[saga]
2021/09/25(土) 22:16:12.52 ID:rdad/mqRO
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「いや、だから二次会はいいって」
ニヤニヤしながら、目の前の金髪の男があたしの手を掴んだ。酒臭い息が髪にかかり、すごい不快な気分になった。
35: ◆QlCglYLW8I[saga]
2021/09/25(土) 22:16:41.49 ID:rdad/mqRO
その時、あたしと男の間に、誰かが割って入った。
36: ◆QlCglYLW8I[saga]
2021/09/25(土) 22:18:11.98 ID:rdad/mqRO
そこにいたのは、小柄な男の子だった。中学生?……いや、こんな時間に中学生がいるはずがないから、多分高校生かそれ以上なんだろう。
もちろん見覚えはない。……誰だろう、この子。
「は?」
37: ◆QlCglYLW8I[saga]
2021/09/25(土) 22:18:48.34 ID:rdad/mqRO
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ビジネスホテルに着くと、あたしは優結を寝かせた。少し吐いたけど、酔いはそこまで深刻なものじゃなさそうだった。
竹下君、って言ってたっけ。善意から色々してくれたのだろうけど、このまま何もしなくていいのだろうか。
38: ◆QlCglYLW8I[saga]
2021/09/25(土) 22:19:56.35 ID:rdad/mqRO
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その夜は色々話した。彼が東大の1年生だということ。身体を鍛えるためにボクシングジムに通っていて、だから男を倒せたのだということ。
何であたしたちを助けたかは本当に分からないけど、今になって怖くなり、寝付けずにビールを買っていたこと。そして、意外とオタクで、あたしとは結構……いや、かなり趣味が合うこと。
39: ◆QlCglYLW8I[saga]
2021/09/25(土) 22:20:22.72 ID:rdad/mqRO
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そうやって出会ったあたしたちが男女の仲になるまでは、そう時間がかからなかった。
40: ◆QlCglYLW8I[saga]
2021/09/25(土) 22:21:29.10 ID:rdad/mqRO
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「何ニヤニヤしてるんだよ」
「ううん、俊太郎と会った時のことをね」
41: ◆QlCglYLW8I[saga]
2021/09/25(土) 22:22:13.51 ID:rdad/mqRO
失礼しました。上の文章を訂正します。
42: ◆QlCglYLW8I[saga]
2021/09/25(土) 22:23:19.56 ID:rdad/mqRO
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「何ニヤニヤしてるんだよ」
「ううん、俊太郎と会った時のことをね」
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