243: ◆yOpAIxq5hk[saga]
2021/09/21(火) 22:02:18.35 ID:6iS857jM0
「自らに何かを強いることは過ちだ。目標を掲げて突き進むのが人間─────って、僕のお世話になった人が日常的に言っていてね。こうして一番乗りを目標にして努力する分にはいいけど、朝5時とかに目覚ましをかけて無理やり来るのは違うんじゃないかって」
「……おぉ。なるほど。良いこと言うね、その方」
244: ◆yOpAIxq5hk[saga]
2021/09/21(火) 22:02:49.82 ID:6iS857jM0
彼は、私の前で窓の外を眺めるように佇む。
その姿は、なんだか見覚えがあるような気がした。
「いや、今のは春宮さんの言葉を遮っただけだ。特に深い意味はない。ただ本当に、僕のことはあまり詮索しないでくれって話だ。訳ありな人間なんていくらでもいるんだから」
245: ◆yOpAIxq5hk[saga]
2021/09/21(火) 22:03:22.62 ID:6iS857jM0
「─────ノリが良いんだね、春宮さんって。ノってくれなかったらどうしようかと思った」
「うん、でも途中のセリフ忘れちゃった。ごめんね?」
246: ◆yOpAIxq5hk[saga]
2021/09/21(火) 22:04:00.36 ID:6iS857jM0
◇◇◇
朝のホームルームを報せるチャイムが鳴ると同時に、くたびれた背広を着た伊藤先生がやって来る。
表情、無精髭、ボサボサの髪、足取り、その全てが先週と何ひとつ変わらなかったものの、なんだかいつもと異なる雰囲気を感じた。
247: ◆yOpAIxq5hk[saga]
2021/09/21(火) 22:04:42.05 ID:6iS857jM0
わたしたちDクラス─────いや、Cクラスの隣には『710ポイント』と記載されていた。
これは今朝振り込まれた『71000ポイント』と無関係でないことはすぐに分かる。
「えー、この学校では、クラスの成績や評価が毎月一日のポイントに関わってきます。授業中の私語31回、授業中に携帯を触った回数15回と、例年のDクラスと比較するとマシな方でした」
248: ◆yOpAIxq5hk[saga]
2021/09/21(火) 22:05:15.92 ID:6iS857jM0
先生は一呼吸ついて、電子黒板に表示された数字に改めて注目する。
Aクラス:979ポイント
Bクラス:719ポイント
249: ◆yOpAIxq5hk[saga]
2021/09/21(火) 22:05:43.94 ID:6iS857jM0
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250: ◆yOpAIxq5hk[saga]
2021/09/21(火) 22:06:10.16 ID:6iS857jM0
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251: ◆yOpAIxq5hk[saga]
2021/09/21(火) 22:06:55.51 ID:6iS857jM0
それにBクラスから落ちてDクラスとなったクラスとも300ポイント近くの差が出来ている。これから差が縮まる、広がることを考えてもこの結果は非常に良いと言える。
「こちらの数字はいわゆるクラスポイントと呼ばれているものです。そして皆さんに振り込まれたポイントはプライベートポイント。つまり今月は710クラスポイントに、71000プライベートポイントとなります」
淡々と説明を続けていく先生に、一色くんが立ち上がって質問をする。
252: ◆yOpAIxq5hk[saga]
2021/09/21(火) 22:07:22.42 ID:6iS857jM0
見出しには『小テスト結果』と書かれている。
中学生レベルの問題も出されたあのテストだ。
いずれの教科でもわたしの名前が一番上に100点と付いて表れていたのは喜ばしいことだが、先生の意図は他にある。
「次回以降の中間テスト、期末テストで赤点となった生徒は退学となりますので、ご注意ください」
253:名無しNIPPER[sage]
2021/09/21(火) 22:14:49.72 ID:Ev35Cg4H0
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