【ウマ娘】タキオンのトレーナー、死す
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9:名無しNIPPER[saga]
2021/05/16(日) 20:12:02.34 ID:emsexCaj0
「君は私が来るたびに心配事を言う」

タキオンは病室に来ると、だいたい近況について話す。
そうすると、トレーナーはいつも、タキオンが真面目に練習をしているか、
新しいトレーナーの言うことをちゃんと聞いているか、確認してくる。
以下略 AAS



10:名無しNIPPER[saga]
2021/05/16(日) 20:13:28.82 ID:emsexCaj0
その日の学園内は、少し騒ぎになった。
朝早くから、不安になるようなサイレンを鳴らしながら救急車が敷地内に入り、
朝練をしていたウマ娘たちも何事かと様子を見に行っていた。
教師がウマ娘たちを宥め、元に戻るよう告げた。
しばらく途絶えていたサイレンの音が再開し、敷地内を出て、遠ざかっていく。
以下略 AAS



11:名無しNIPPER[saga]
2021/05/16(日) 20:16:27.46 ID:emsexCaj0
手に温もりを感じていた。
トレーナーが目を開けようとすると、すぐにその温もりは離れていった。
外界から声が届いてくる。やっとの思いで、それに返事をしながら、目を開けると、
目の前に、こちらを覗き込むタキオンの顔があった。

以下略 AAS



12:名無しNIPPER[saga]
2021/05/16(日) 20:18:15.71 ID:emsexCaj0
トレーナーの症状は深刻だった。

意識は取り戻したものの、いつ容態が急変してもおかしくない。
今も意識を失ったり、また取り戻したりを繰り返している。
薬を投与し続けて、やっとのことで症状を緩和できている状態だ。
以下略 AAS



13:名無しNIPPER[saga]
2021/05/16(日) 20:20:15.18 ID:emsexCaj0
ある日、トレーナーが自分を呼んでいると聞いた。
だから、身だしなみを整えて、病院に向かった。

数週間しか空いてないはずなのに、トレーナーは前よりもやつれているように見えた。

以下略 AAS



14:名無しNIPPER[saga]
2021/05/16(日) 20:22:02.12 ID:emsexCaj0
トレーナーは少し黙った。
そして、しょうがないと溜息を吐いて、紙とペンを机の上に取り出し、
咳をしながら、ぐりぐりと文字を書いて、タキオンに差し出した。

とりあえずはこのメニューの通りにトレーニングをこなしてほしいと言った。
以下略 AAS



15:名無しNIPPER[saga]
2021/05/16(日) 20:23:10.76 ID:emsexCaj0
一人で調べることに限界を感じたタキオンは、いろいろな伝手に協力を頼んで回った。
理事長をはじめとする学園関係者にも、便宜を図ってもらうために、頭を下げた。
皆、驚いてタキオンのことを見て、少し気の毒そうな表情を浮かべた後、出来る限りの力を貸すことを約束してくれた。

進捗は芳しくなかった。
以下略 AAS



16:名無しNIPPER[saga]
2021/05/16(日) 20:24:43.51 ID:emsexCaj0
時間ばかりが過ぎていった。
病院から逐一トレーナーの症状の報告を聞くたびに、タキオンの焦りは強くなっていった。
ずっと期待をしては、失望することを繰り返していた。
調査し、誰かに連絡をするたびに、次第に頭の中での理性の声が強まってくる。

以下略 AAS



17:名無しNIPPER[saga]
2021/05/16(日) 20:26:18.37 ID:emsexCaj0
トレーナーの病状は悪化の一途を辿っていた。

焦りを必死に押し殺して、時間を稼ぐために最新施設が揃った病院に移させることを検討していると、
病院から連絡があり、トレーナーがまたタキオンに会いたいと、呼んでいるとのことだった。

以下略 AAS



18:名無しNIPPER[saga]
2021/05/16(日) 20:27:22.11 ID:emsexCaj0
出会った頃から、この人の目には狂った色が宿っていた。
このウマ娘を、自分が絶対に速く走らせて見せると、情熱を迸らせていた。
当時、その色に私はひどくそそられた。

でも今のトレーナーの目の色は、弱弱しい。
以下略 AAS



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