【ウマ娘】タキオンのトレーナー、死す
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1:名無しNIPPER[saga]
2021/05/16(日) 19:55:28.18 ID:emsexCaj0
「具合はどうだい?トレーナー君」

ノックもせずに、タキオンは病室に入っていった。
ベッドで寝ていた彼女のトレーナーは、起き上がって、彼女に返事をした。

タキオンのトレーナーは、半年前に突然倒れて病院に運ばれた。有馬記念で一着をとった翌日のことだ。
診断の結果、現代医学では治療不可能な病とされ、もって1年と医者に告げられた。

「花を買ってきたよ。そろそろ取り替えてもいい頃だと思ったからね」

片手に握った花をタキオンが掲げる。トレーナーはそれを見て、綺麗な花だね、と言った。

「目の前の景色に変化がないと余計に気が滅入るだろう。感謝したまえよ」

病室の中をスタスタと歩き、躊躇なく花瓶に手をかける。
トレーナーが素直にお礼を言うと、タキオンはそっけなく返事をした。

倒れたトレーナーを最初に見つけて病院に連れて行ったのはタキオンだった。

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2:名無しNIPPER[saga]
2021/05/16(日) 19:58:20.96 ID:emsexCaj0
お祝いを二人でしたいと、倒れた前日に、トレーナーがレースの帰りに言った。

「はしゃぎすぎだよ、トレーナー君」

タキオンは渋々と言った感じにそれを承諾してから、
以下略 AAS



3:名無しNIPPER[saga]
2021/05/16(日) 20:00:44.90 ID:emsexCaj0
トレーナーがせっせと祝勝会の準備を進めるのを眺めながら、
タキオンはトレーナーにちょっかいを出しつつ、はやくしろとせっついた。それにトレーナーが、はいはいと応える。
場所はトレーナーの部屋。

タキオンはちょっかいを出すのにも飽きて、暇になり、
以下略 AAS



4:名無しNIPPER[saga]
2021/05/16(日) 20:02:20.73 ID:emsexCaj0
始まった二人だけの祝勝会の中、トレーナーは機嫌よく今後の展望について話した。

次々と有名どころのレースの名を口に出し、それぞれでタキオンが一着をとる姿を想像してニヤニヤとほくそ笑む。
しまいには、タキオンは日本一、いや世界一、いやいや史上最強のウマ娘になれると嬉しそうに話すのを、
タキオンは、酒も飲まずによく酔えるものだと茶化しながら、黙って聞いていた。
以下略 AAS



5:名無しNIPPER[saga]
2021/05/16(日) 20:04:03.32 ID:emsexCaj0
今までのタキオンは誰かに頼ることが無かった。
基本的に、自分一人でどうにかできた。

自分の力を何より信じていたし、それが一番の近道だと考えている。
誰かと協調し、不確定要素が増え、それで足並みを乱されるより、
以下略 AAS



6:名無しNIPPER[saga]
2021/05/16(日) 20:05:54.83 ID:emsexCaj0
この数年間、たくさんのことを発見した。
知らない自分を見つけた。
誰も見つけてくれなかった自分を、トレーナーは見つけてくれた。
トレーナーが一緒にいてくれたから、今の自分がここにいる。

以下略 AAS



7:名無しNIPPER[saga]
2021/05/16(日) 20:07:24.59 ID:emsexCaj0
「新しいトレーナーは教え方が上手いようでね。今のところ順調だよ」

病室に備え付けのパイプ椅子に座って、
慣れた手つきで林檎の皮をむきながら、タキオンが言う。
つくづく月並みな見舞品だとは思うが、月並み以外のやり方を知らない。
以下略 AAS



8:名無しNIPPER[saga]
2021/05/16(日) 20:09:40.61 ID:emsexCaj0
祝勝会は、タキオンの門限が来る前にお開きになった。
タキオンは、今日はもう少し、トレーナーと一緒にいたいような気がしたが、それを口に出すことは無かった。
トレーナーが後片づけをするのを見守っていると、トレーナーが、名残惜しそうな顔をあからさまにしているので、
タキオンは吹き出しそうになった。

以下略 AAS



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