2:名無しNIPPER[sage saga]
2021/03/14(日) 20:36:29.52 ID:UGFpCWbxO
『生殺与奪の権を他人に握らせるなッ!!』
彼に初めて出会った時に言われたその言葉は、忘れることなく心に刻まれている。
家族を喪い、最後に残った禰豆子までをも奪われそうになり、請い願うことしか出来なかった俺を義勇さんは叱咤してくれた。
3:名無しNIPPER[sage saga]
2021/03/14(日) 20:42:18.05 ID:UGFpCWbxO
「どうした、炭治郎?」
しばらく固まっていた俺を怪訝そうに伺う義勇さんに慌てて取り乱したことを謝罪する。
「あ、いえ。ちょっと驚いてしまって……あの、その……大丈夫なんですか?」
4:名無しNIPPER[sage saga]
2021/03/14(日) 20:43:26.92 ID:UGFpCWbxO
「義勇さんその、手を離して貰えると……」
「見舞いに来たのなら、手くらい握れ」
そう言われるとそういうものかと思えたが、いやしかし、果たして本当にそうなのか。
義勇さんとこうして手を繋いでいる現状は、見舞いの光景として本当に正しいのか。
5:名無しNIPPER[sage saga]
2021/03/14(日) 20:45:17.72 ID:UGFpCWbxO
「たとえ自ら刃を振るえずとも、俺はこれまで積み上げてきた技術を残したい。俺とお前の子供ならば、きっと鬼舞辻無惨を倒せる隊士となれる筈だ。悪くない提案だと思うが」
「いやいや! いやいやいやいや! おかしいですって! どうしてそうなるんですか!?」
とんでも理論を振りかざす義勇さんを必死で説得しようと試みるも彼はすっかり弱気で。
6:名無しNIPPER[sage saga]
2021/03/14(日) 20:47:27.00 ID:UGFpCWbxO
「義勇さんには俺なんか居なくても平気ですよ。大丈夫です。きっと薬は完成します」
「炭治郎は俺のことが嫌いなのか?」
また弱気になってしまう義勇さんに咄嗟に。
7:名無しNIPPER[sage saga]
2021/03/14(日) 20:49:53.74 ID:UGFpCWbxO
「せ、責任と言われましても……」
「難しく考える必要はない。俺を娶れ」
娶る。妻にする。義勇さんが、俺の奥さん。
8:名無しNIPPER[sage saga]
2021/03/14(日) 20:53:21.88 ID:UGFpCWbxO
「カナヲとやら」
「はい」
「わざわざ薬を作って貰った手前申し訳ないが、もはやそれは不要だ。俺はこれから炭治郎の妻として、共に生きる覚悟を決めた」
「この蝶屋敷から出る時は、治るか死ぬかです。それ以外の選択肢はありません」
9:名無しNIPPER[sage saga]
2021/03/14(日) 20:56:21.83 ID:UGFpCWbxO
「てぇあああああああああああっ!!!!」
身を捩り、カナヲが手に持った薬を義勇さんの尻穴に目掛けて突き刺す。座薬であった。
「ぬあっ!?」
10:名無しNIPPER[sage saga]
2021/03/14(日) 20:58:26.47 ID:UGFpCWbxO
「ヒノカミ神楽……陽華突!!」
日の呼吸に切り替えて、突き技を放つ。
この唯一の突き技が効かなければ、他に打つ手はない。だから、全ての力を込めた。
11:名無しNIPPER[sage saga]
2021/03/14(日) 21:00:26.80 ID:UGFpCWbxO
「フハハハハハハハハハハハハッ!!!!」
高らかに、天を脅かす哄笑の産声をあげる。
身体の隅々まで巡る万能感。これが鬼化か。
今ならばなんだって出来る。俺が鬼の王だ。
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