2:名無しNIPPER[sage saga]
2021/03/14(日) 20:36:29.52 ID:UGFpCWbxO
『生殺与奪の権を他人に握らせるなッ!!』
彼に初めて出会った時に言われたその言葉は、忘れることなく心に刻まれている。
家族を喪い、最後に残った禰豆子までをも奪われそうになり、請い願うことしか出来なかった俺を義勇さんは叱咤してくれた。
厳しく、そして残酷な言葉だとは思う。
けれどこれはそれから先、俺が禰豆子と共に生きていく上で必要な心構えだった。
義勇さんに出会えたからこそ、俺は禰豆子を守る力を手に入れる努力を継続出来た。
意思を示したことで義勇さんに認められ、彼に鱗滝さんを紹介されたからこそ俺は今、鬼狩りとして禰豆子と共に生き、戦うことが出来ている。そのことに深く感謝している。
「義勇さん……?」
そんな彼が先日、鬼との戦いで負傷し、蝶屋敷に運び込まれたと鎹鴉より聞いた俺は、たまたま近くで任務に当たっていたこともあり、おっとり刀で見舞いに駆けつけた。
幸い、命に別状はないそうで、義勇さんは寝台の上で身を起こしていた。顔色は悪い。
目立った外傷は見受けられないものの病床の雰囲気のせいか、いつもより小さく見える。
「鎹鴉から聞いて、お見舞いに来ました」
「そうか」
寝台の隣に置かれた丸椅子に腰掛けて、ひとまず無事であることに胸を撫で下ろしていると、彼の声に違和感を覚えた。声が、高い。
「あれ? 義勇さん、声が……?」
「ああ。鬼の血鬼術のせいで俺は今、女の身体となってしまった。その影響だろう」
義勇さんが女に? あまりの衝撃で声を失う。
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