58:名無しNIPPER[saga]
2021/02/28(日) 11:00:38.15 ID:j5Vg4AXZO
朝から取り掛かったこの準備が一段落ついたのは、
もう陽も落ちかけた時刻になってからだった。
「絶好の放火日和だ」と、
59:名無しNIPPER[saga]
2021/02/28(日) 11:06:19.98 ID:j5Vg4AXZO
校舎の前に座り込んで、
転がしてあるロープを手に取る。
ライターを近くに寄せる。
60:名無しNIPPER[saga]
2021/02/28(日) 11:10:04.09 ID:j5Vg4AXZO
黒い煙が少しずつ、少しずつ窓から漏れ始めた。
やがてその量が増していくと、窓ガラス越しにちらほらと
赤く踊る炎が見えるようになった。
61:名無しNIPPER[saga]
2021/02/28(日) 11:26:03.76 ID:j5Vg4AXZO
***
いつの間にか寝入っていた。
62:名無しNIPPER[saga]
2021/02/28(日) 11:30:28.47 ID:j5Vg4AXZO
立ち上る黒煙と、炎に照らされて赤く染まる空。
その中を天使たちが舞う。
久しぶりに見る、僕と彼女以外の生き物の姿だった。
63:名無しNIPPER[saga]
2021/02/28(日) 11:35:06.48 ID:j5Vg4AXZO
綺麗な光景だと思うかい?
僕には街灯に集る羽虫に見えたね。
64:名無しNIPPER[saga]
2021/02/28(日) 11:37:31.18 ID:j5Vg4AXZO
「ふざけんな!」
あまりにも大きな怒鳴り声に自分で驚いてしまったくらいだ。
一瞬だけ我に返って、それでも僕の怒りは収まらなかった。
65:名無しNIPPER[saga]
2021/02/28(日) 11:39:31.58 ID:j5Vg4AXZO
「お前らはずっと楽しそうだっただろうが!
別に天使になんかならなくても!
地面にいたまんまでも!
僕とは関係のないところで、
66:名無しNIPPER[saga]
2021/02/28(日) 11:42:36.81 ID:j5Vg4AXZO
膝に手をついて、僕は荒く呼吸をする。
袖で目をぬぐう。
拭いても拭いても、なぜだか涙がにじみ出てくる。
67:名無しNIPPER[saga]
2021/02/28(日) 11:47:30.99 ID:j5Vg4AXZO
「致命的な何かがあったわけじゃない」
僕は、ぽつぽつと語りだす。
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