14: ◆gxyGj7UNSanm
2020/10/30(金) 02:24:21.17 ID:dk3wt1/f0
■■■
ミリオンライブ ちょっと不思議劇場
第二話「百合子とチョコレートと」
15: ◆gxyGj7UNSanm
2020/10/30(金) 02:25:07.34 ID:dk3wt1/f0
チョコレート、というお菓子がある。
別に思い入れも何もあるわけではないが、何かと差し入れというものが多いこの業界では食べる機会が多い。
もしかしたら、他の業種であってもそれは変わらないのかもしれない。
ただ、それにしても765プロではそれを食べる機会が多かった。
16: ◆gxyGj7UNSanm
2020/10/30(金) 02:26:18.86 ID:dk3wt1/f0
何はともあれ、いくつも問題を抱えながら、仕事は回る。
時には解決し、時には忘れて、時には取返しのつかないことになるけれど、どうにか回す。
それがプロデューサーの仕事だ。
いや社会人だったらみんな同じようなものか。
17: ◆gxyGj7UNSanm
2020/10/30(金) 02:27:00.63 ID:dk3wt1/f0
閑話休題。話題を戻そう。
ともあれ、プライベートまでいちいち言う気はないのだが、さすがに完徹で本を読んでいましたなんて言われたらほっとけないのである。
「というわけで合宿だ」
18: ◆gxyGj7UNSanm
2020/10/30(金) 02:27:37.91 ID:dk3wt1/f0
翌朝。まだ日も昇っていない時間に起きてしまった。
眠りが浅いのは、普段とは違う場所で寝たからだろうか。
職場に泊まるというのは独身の特権だよなあと思いつつ、その一方でいつ結婚できるかもしれぬ己の身の上を案じて少し心が寒くなった。
窓を開けて、まだ寒い外の空気を吸い込み、独り言ちる。
19: ◆gxyGj7UNSanm
2020/10/30(金) 02:28:12.90 ID:dk3wt1/f0
「あ」
そこで気づく。
そういえば、百合子と朝食をとると言ったのは8時だったか。
さすがに中学生と連れ立って飯を食いに行く度胸は俺にはない。
20: ◆gxyGj7UNSanm
2020/10/30(金) 02:29:04.97 ID:dk3wt1/f0
さて参った。
一回りぐらい離れた少女たちのわがままやら、同僚の小言やら。
小鳥さんの頭おかしな独り言なんかには大概慣れたつもりではあったが、こんなことはついぞなかったような気もする。
―――プロデューサーは嘘つきですぅ。
21: ◆gxyGj7UNSanm
2020/10/30(金) 02:29:43.96 ID:dk3wt1/f0
強い語気。
控えめにいっても、その顔はとてもアイドルには見えなかった。
ぐしゃぐしゃだ。
鼻水と、涙と、よだれで、とても嫁入り前の娘が異性に見せていいものではなかった。
しかし、その瞳の奥には強い意志がある。
22: ◆gxyGj7UNSanm
2020/10/30(金) 02:30:12.27 ID:dk3wt1/f0
ロールケーキ、チョコレート、のど飴、タピオカドリンク。
別に、それを与えられたから、好きになったわけじゃない。
女の子はそんなに単純じゃないのだから。
でも、それでも。
23: ◆gxyGj7UNSanm
2020/10/30(金) 02:30:40.52 ID:dk3wt1/f0
「と、いうわけでプロデューサーさん!クッキー作ってきました♪」
と、いうわけで今に至る。
何がと、いうわけなのかは知らん。
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